ワクチン届かず”急ブレーキ” 接種計画を練り直しへ 「少ないなりに方法考える」

2021.07.05
地域

64歳以下の市民に届いた接種券。丹波市内で予約が取れるようになるのはもうしばらく先になる見通し

国からの新型コロナウイルスワクチンの供給が見通せないとして、64歳以下の個別、集団両接種とも新規の予約受け付けを中止した兵庫県丹波市―。同市へのワクチン配分が7月前半の2週間分は4箱(1箱約1170回分)で確定、7月後半分も4箱か、増えても5箱程度の見通しであることが、県市への取材で分かった。これまでのペースから半減か、半減以下になり、市は接種計画の練り直しを迫られ、「少ないなりにやっていく方法を考える」とする。

現状、65歳以上の希望者全員分のワクチンは確保できているが、64歳以下の接種分になる次回配分からは大幅に供給ペースが下がるため、接種計画に急ブレーキがかかる。

市は7月前後半のワクチンを各10箱ずつ県に要求。7月後半分の配分が少ないことは、県から6月18日ごろに知らされていた。国全体の確保量が1万6000箱から1万1000箱、国から県への配分が731箱から433箱に約4割減った、との情報と共に。

市健康課によると、「コロナワクチンは1人が2度打つ。2度目に打つワクチンが確保できる見通しがなければ、予約を受け付けられない」と、7月後半の配分量の正式決定を待っていた。しかし、国から県への配分の連絡が遅れ、市が国や県に問い合わせても答えが出ず、配分数の連絡があるはずの6月28日になっても県から連絡はなかった。市は先が見通せないとして6月29日、64歳以下の新規予約の受け付け中止を決めた。

河野太郎内閣府特命担当大臣が6月30日の会見で示したファイザー社製ワクチンの国全体の確保量は、7月前半分から8月後半分までの4回の配送分で総量が増えておらず、丹波市に割り当てられるワクチンの数も増える見込みはないとみられる。

市は、集団接種のスピードを上げるために大型テントを設置、週3200回ほどの接種態勢を整えた。7月から市医師会で個別接種が本格化し、週4000回ほど打てると踏んでいたが、大幅な下方修正を強いられる。

市はまず、7月後半分のワクチンと8月前半分のワクチンを、エッセンシャルワーカーへの優先接種に当てる。高齢者、障がい者、子育て支援施設で勤務するエッセンシャルワーカーと障がい者施設の利用者を合わせて約3100人。教員も優先接種の対象とする。

エッセンシャルワーカーらに接種し、なおワクチンに余剰分があるのかどうかを見極め、予約を受け付ける対象者の設定など、市は医師会と協議の上、方向性を見出す。大槻秀美市健康福祉部健康・子育て担当部長は「待っている人に早くワクチンを打ってあげたいが、ワクチンが届かないことにはどうしようもない。少ないワクチンを誰にどう使うか、方針を早く決め、予約受け付けの再開につなげたい」と話す。

県のワクチン対策課には、県内の多くの市町から希望通りの供給を求める苦情が届いている。同課は、「直接住民と接する市町にとって大変な問題と認識し、国に配分を増やすよう要望している。市町に要求通りの配分を求められているが、県は人口と接種率などを加味し、一律のルールで市町に配分している。特別扱いはどの市町にもできない」と説明する。

ワクチンを巡り、隣市の丹波篠山市は8箱から3箱に減る。この影響で、7月19日から13―64歳以下の接種を始める予定だったが、60―64歳以下と基礎疾患のある人のみに対象者を絞り、59歳以下の予約受け付けを中止した。

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