昨年11月に84歳で亡くなった彫刻家で兵庫県立柏原高校の元美術科教諭、関口寛治さん(同県丹波篠山市)をしのぶ追悼集がこのほど、できあがった(丹波新聞社印刷)。作ったのは、柏原高校の美術部で関口さんの指導を受けた教え子たち。10日から植野記念美術館(同県丹波市氷上町西中)の2階研修室で開く「関口寛治とその教え子たち」展で希望者に頒布する。同展は14日まで。
関口さんは、同市柏原町の彫刻家、初代磯尾柏里の4男。結婚し、関口姓になった。京都学芸大学(現京都教育大)在学中に日展で初入選。以後、計20回の入選を重ねた。柏原高校には1961年から23年間勤め、多くの美術家を育てた。
追悼集作製や展覧会開催に向け、地元在住者を中心に教え子12人で実行員会をつくり、作業を進めてきた。追悼集には、20人の教え子をはじめ、知人や家族らがそれぞれの思い出をつづった原稿を寄せた。美術に対する厳しさや、教え子をいつくしむ人柄が伝わってくる。
展覧会では、関口さんの作品としては日展入選作など5点を展示。猫をモチーフに、作りかけのままに終わった最後の作品を、甥で3代目柏里の磯尾隆司さんが仕上げたものも展示する。また約20人の教え子が油彩、水彩、デザイン、彫塑などを出す。丹波を離れて活躍している画家の笹倉鉄平さんや高橋重幸さんらも出品する。
実行委員会代表の木寺明さん(74)=同市市島町=は「美術部で教えを受けた者たちにとって、関口先生は特別な存在だった。追悼集や展覧会は、先生に別れを告げるけじめになる」と話していた。
追悼集は、会場に募金箱を置き、500円で頒布。集まったお金は同市に寄付する。同展は入場無料。