丹波書の会会長 大槻佐知子さん(丹波市)

2022.07.17
たんばのひと

大槻佐知子さん

子の伸びる力に驚き
丹波市、丹波篠山市の書道家らでつくる丹波書の会で、30年近く会長を務めた前任者に代わり、新しく会長に就任した。作業服、履物などを販売する「オオツキ」取締役会長。「商売も同じだが、1人で頑張ってできることではない。他の役員さんたちとも力を合わせ、会を継続させていきたい」と話す。

34歳で夫を亡くし、引き継いだ仕事のことなど、心身共に慌ただしくなった。幼い頃から高校生まで書道と親しんでいた経験もあって、再び教室に通い始めた。「書いていると集中でき、その間はいろんなことを忘れられた」

仕事と両立するうち、親戚からお中元やお歳暮ののしを書くのに書を教えてほしいと頼まれた。それをきっかけに、徐々に教える人が増えていき、60歳を過ぎた頃、会社店舗だった自宅1階で教室を開いた。指導する立場となったが、「仕事上のお付き合いや社員とのやりとりの中で包容力はできていた。もし若い頃に指導していたら、怒ったりして子どもの力を伸ばしてやることができていなかったかも」と笑う。

言葉掛け一つで伸びていく子どもの力にいつも驚く。一方で、「『上手やん』と言っても、本人が一番分かっている。納得がいっていないときは、けげんそうな顔をします」。一般の教室生に対しては、「認知症の予防やストレスの解消みたいなことで、お互いに良い交流ができたら」と自然体。

一人の書家として「今でも書いている時は心が落ち着く」と言い、米寿になる年に、教室生と一緒に記念の作品展をするのが目標という。ただ、「いまだに、うまいこと書けたと思うことは一度もない」。81歳。

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