小説「貂の皮」を能に 地元の武将・赤井直正が登場 11月の上演前に神事

2022.09.23
地域歴史

「スペクタクル新作能『貂ノ皮』×甲冑隊IN丹波」の謡本などを奉納する関係者=兵庫県丹波市春日町黒井で

兵庫県丹波市にある黒井城主だった赤井(荻野)直正が登場する司馬遼太郎の小説「貂の皮」を能にして上演するイベント「スペクタクル新作能『貂ノ皮』×甲冑隊IN丹波」が11月3日、兵主神社(同市春日町黒井)で行われるのを前に、主催者ら4人が同神社で成功を祈願する神事に臨んだ。玉串や能の謡本を奉納するなどした。

丹波能楽振興会と黒井城跡地域活性化委員会の共催。同委員会が2019年に開いたイベント「ようこそ御茶の国丹波へ」の第2弾と位置付けた企画で、神事には新作能を手掛けた能楽師の上田敦史さん(49)や、同委員会の吉住孝信委員長(74)らが出席した。

能「貂ノ皮」は、丹波攻めの際、羽柴秀吉の命を受けた脇坂甚内が、赤井直正に降伏開城を説くべく黒井城に乗り込むという、小説を題材にしたストーリー。同神社の境内に特設ステージを設け、総勢17人の能楽師が出演するほか、地元の黒井城甲冑隊ら15人も合戦シーンで登場する。

春日戦国太鼓の演奏や、春日郷土民踊保存会による「黒井おどり」の披露もある。戦国時代、武者が戦を前に茶を飲み、心を鎮めたという言い伝えから、市茶華道会が茶席を設ける。

上田さんは「地元の人で作り上げ、持続性のある催しにしたい」と言い、吉住委員長は「地域の活性化も目的。新しい発想で、直正公の功績を伝えたい」と述べた。

イベントは午前9時半からと、午後1時半からの2部制。計300人が入場できる。前売り券は9月末から、市観光情報センター「丹波ええとこナビ」(道の駅丹波おばあちゃんの里敷地内)などで販売する予定。

関連記事