“日本らしさ”を演奏に
収入の軸は林業。山に入って木を切り、木を材料にクラシックギターを制作し、作曲、演奏もする。「ギターの演奏も制作も、1人で打ち込み、精神的に自分を追い込む。豪快に木を倒す林業は、心のバランスを取るのに適している」と話す。
高校時代、友人たちとロックバンドを組もうと盛り上がり、初めて触れたエレキギターにすぐにのめり込んだ。大学生になると、ギター一本で聴衆を魅了するクラシックギターやフラメンコギターに傾倒。休学して1年間、スペイン、グラナダへ渡った。もともと物作りにも興味があった。ギター工房が立ち並び、道端では演奏家がメロディーを奏でる本場の町で、制作、演奏の技を吸収した。
大阪などで演奏家として活動した後、会社員などを経て、福知山市の職業訓練校で家具作りを通して木材の加工技術を身に付けた。その後、京都府京丹波町のギター工房で指導を受けながら完成させた自作品を持って再度、スペインに渡った。「同じギターでも弾く人によって音が変わる。自分のギターでこんな音が出せるのかという驚きがあった」と振り返る。
丹波篠山市で獣害柵を点検する仕事に関わったのが縁で、林業家になった。ゆくゆくは自分で切った木でギターを作ろうと、部材を乾燥させる工程に入っている。「流れに身を任せるうちに」ライフワークがつながった。
「丹波篠山にいると、昔ながらの暮らし、四季など、音楽にしたいと感じる”日本らしさ“があふれている。いつか自分で切った木でギターを作り、自作の曲が演奏できれば、感慨深いだろう。きっとドラマチックな心に残る演奏ができる」。伊丹市出身。45歳