かまどごはん手軽に 一合炊きやきもの商品開発 クラファンで大反響

2023.02.10
地域

 

「かまどはん」を開発・製作している陶芸家の大杉さん=兵庫県丹波市山南町岩屋で

兵庫県丹波市山南町岩屋に工房「閑心窯」を構える陶芸家、大杉康伸さん(45)が、一合のかまど炊きご飯が手軽に楽しめるやきもの商品「かまどはん(竈飯)」を開発、一般販売を始めた。陶歴27年の大杉さんが一つひとつ手作りで仕上げている逸品。「火加減要らずで、固形燃料に火をつけるだけで、簡単にかまど炊きのご飯が味わえ、日々の食事が優雅に、豊かになるのでは。手作りだからこそ残る土の表情も感じてもらえたら」と話している。

かまどはんは、高さ20センチ、直径21センチ。羽釜とかまどが分離するので収納時には高さが12センチとなり、コンパクト。色は白、黒、緑の3色から選べる。

羽釜の中に洗米1合、水200ccを入れてふたをし、かまどの中に固形燃料1個(35グラム)をセット。火をつけた後は燃え尽きるまで放置するだけ。その間の火加減調節は不要。火が消えたら10分程度蒸らせば完了。土鍋で炊いたときと同じような、ふっくらもちもちのご飯に炊き上がる。調理時間は30分ほどという。動画共有サイト「ユーチューブ」で「かまどはん」と検索すると、ご飯の炊き方を詳しく解説した動画が見られる。

開発のきっかけは、5年ほど前に神戸の料理屋から、店のディスプレイ用として3合炊きのかまどはんの製作依頼を受けたことに始まる。その後も展示会のブースに飾った際、注目を集めたり、「土鍋で炊いたご飯を手軽に食べたい」という声を聞いたりしたため、「家庭用サイズで作ればニーズがあるのでは」と考えた。

開発・製作資金を集めるため、2021年12月―翌22年1月の5週間、クラウドファンディングに挑戦。思いのほか反響があり、3週間で1070人から注文が入った。手作り品のため、これ以上は対応できないと、受注をストップし、納品に向けて製作にいそしんだ。特に東京や神奈川の40―50歳代に受けたという。

大杉さんは、備前や伊賀で計10年間の修業生活を送り、06年に岩屋に現在の窯を開いた。伊賀の窯元では土鍋生産が盛んだったため、かまどはん製作に、その時代の経験やノウハウが生きた。

固形燃料を置く陶器製の受け皿や、かまどに敷く杉板、商品の取り扱い説明書も付属している。9680円(税込み)。

今春、工房の近くに農機具小屋を改装した展示販売所を開設する予定。

関連記事