重伝建地区の全国大会開催 68自治体の視察団が訪問 篠山・福住地区を視察

2023.05.28
地域歴史観光

約110年ぶりに屋根の上に鉾を取り付けて河原町通りを巡行する鳳凰山と三笠山=兵庫県丹波篠山市河原町で

兵庫県丹波篠山市内で22―24の3日間、「第45回全国伝統的建造物群保存地区協議会(伝建協)総会・研修会 丹波篠山市大会」が行われた。同協議会に加盟する68自治体の行政、伝建地区関係者ら約250人が、同市で伝建地区に選定されている篠山、福住両地区を視察し、意見交換した。両地区の住民や市民がもてなしの心で迎え入れた。

◆城下町で鉾復活巡行

22日は田園交響ホールで、菅義偉前首相が特別基調講演を行った。大会参加者や市民ら約500人が参加。厳重な警備が敷かれた。

23日は約600メートルにわたって無電柱化された妻入り商家が建ち並ぶ河原町通りで鉾復活巡行が行われた。視察団に丹波篠山の魅力の一つを伝えようと、地元住民らが企画した。

鉾の修復が完了した下河原町、小川町の「鳳凰山」と、上河原町の「三笠山」の両鉾山が、地域住民や篠山小学校の児童に引かれて巡行。鳳凰と三日月をかたどった金色の鉾などを屋根に取り付け、約110年前の姿を取り戻した2基が、無電柱化で伝統的な町並みがさらに際立った通りをにぎやかなお囃子を響かせながら威風堂々と練り歩いた。着物姿の子どもたちが鉾山に乗り込み、笛や鉦、太鼓をリズムよく演奏しながら「イーヤ」などの元気いっぱいのかけ声を響かせた。

アマチュアカメラマンの男性は、「電線のない古い町並みの中を鉾山が進む姿は、タイムスリップしたようなすごい景色」と、興奮気味にファインダーをのぞいていた。

視察団を相手に丹波篠山の魅力をクイズ形式で伝える篠山小6年生

地元、篠山幼稚園(8人)・小学校(132人)は「これぞまさに、ふるさと学習」と、学校園を挙げて参加。幼稚園児―小学2年生は鉾山に乗り、3年生は手作りの旗を手にして通りに並び、鉾山巡行を見学したり、観光客や視察団に篠山小をPRするチラシを配布したりした。4、5年生は鉾山を引き、6年生は視察団相手に篠山城や同校を紹介したクイズ形式のガイドを行って行事を盛り立てた。

6年生(24人)によるガイドは、鳳凰会館と青山歴史村で実施。鳳凰会館では、児童が「河原町妻入商家群にある川端家住宅の奥行きは何メートルでしょう」などと視察団に出題し、興味を誘っていた。

6年生はこの日に向け、地域へ出向いて聞き取りをし、ディスカバーささやまグループ、篠山まちなみ保存会のメンバーを前にリハーサルを行い、アドバイスをもらうなどしてガイドの腕を磨いてきた。

児童らは、「最初は緊張したけれど、だんだん慣れてきた。丹波篠山の魅力が伝わっていればうれしい。自分たちの勉強にもなった」とほほ笑んでいた。

◆両地区が事例発表

パネルディスカッションに臨む森田会長(右)、川端会長(右から2人目)

また同日、同ホールで行われた事例発表は、篠山まちなみ保存会の川端登会長、福住まちなみ保存会の森田忠会長のほか、金沢市の東山・ひがしの町並みと文化を守る会の中村驍・前会長、長野市の戸隠中社・宝光社地区まちづくり協議会の辻明紀事務局長が登壇した。伝建協関係者ら約250人が参加した。

川端会長は同保存会のガイドライン改訂委員会について報告。伝建地区内に異質な建物が建たないよう、周知やガイドラインの表記などを工夫し、伝建地区にふさわしい建物への表彰制度を検討していることを話した。また、森田会長は伝建地区選定後、たくさんの店ができたことを効果に挙げ、写真と共に紹介。地区の児童数が、2016年の福住小学校閉校時より15人上回っていることなどを報告した。

パネルディスカッションでは、引き続き4人が登壇し、伝建地区は住民の理解が必要で、地域に関心を持ってもらうには「祭りが最大のチャンスだ」(川端会長)とし、福住地区でも移住者が水無月祭に関わっていることなどが話題となった。

◆福住で街並み視察

演奏で視察団を歓迎する多紀小学校児童=兵庫県丹波篠山市福住で

24日は伝建協の約130人が10班に分かれ、福住を視察。福住まちなみ保存会、福住地区まちづくり協議会、福住町並み案内人グループ、建物の修復設計に携わっている県ヘリテージマネジャーなど約70人が受け入れた。

県ヘリテージマネジャーの河南誠さん(同市東吹)は参加者に「宿場町と、住吉神社以東の農村エリアに分かれ、篠山地区よりも妻入りと平入りが混在し、間口が大きい」などと、同地区の概要を説明。SHUKUBA(旧福住小)では多紀小学校の音楽隊(4―6年生計63人)が多紀町音頭やデカンショ節の演奏で視察者を歓迎した。4年生にとってはデビュー演奏で、「練習通り演奏でき

福住の伝建地区を視察する参加者=兵庫県丹波篠山市福住で

た」「緊張したけれど、楽しい演奏を心がけた」と話していた。

全国伝統的建造物群保存地区協議会

文化庁が1976年から歴史的な町並みを選定し、個性を生かしたまちづくりを支援している。79年に協議会が発足。2004年に篠山地区、12年に福住地区が伝建地区に選定された。現在、全国104市町村、126地区が選定され、県内では、ほかに、神戸市北野町山本通、豊岡市出石、養父市大屋町大杉、たつの市龍野が選ばれている。来年の総会・研修会は長野市で行われる。

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