「飯食えたのがアニメ」 「王立宇宙軍オネアミスの翼」山賀監督が講演 トークでファン魅了

2023.07.15
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「ヱビスシネマ。」2周年でトークショーに登壇した山賀博之さん(左が近兼支配人)=兵庫県丹波市氷上町成松で

日本アニメ界に名を刻む映画「王立宇宙軍オネアミスの翼」(1987年)の監督で、「新世紀エヴァンゲリオン」で知られる制作会社ガイナックスの元社長、山賀博之さん(61)が、兵庫県丹波市の映画館「ヱビスシネマ。」のトークショーに登壇した。対談した近兼拓司支配人は「1980年代は、アニメの仕事をしているなんて、親に言えなかった。山賀さんらガイナックスが漫画、アニメの世の中の流れを一気に変えた」と紹介。40年近く業界に携わる山賀さんは「実写映画が撮りたくて大学に入ったが、日本映画がどん底の時期で、飯が食えるのがアニメだった。アニメが何かよく分からないまま仕事を始めた」などと、飾らないトークで、駆け付けたファンを魅了した。

大阪芸術大学で、「エヴァ」の庵野秀明さん、「プリンセスメーカー」の赤井孝美さんらと同期。実写映画業界に就職口はなく、アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデルが売れた時期で、「これからはアニメなら食える」と業界に身を投じた。

大学卒業後すぐに「オタキング」こと岡田斗司夫さんが、「オネアミスの翼」制作のために立ち上げたガイナックスに就職。仲間たちとつくった「オネアミス―」で、監督・脚本を務め、高い評価を得た。山賀さんと同世代の近兼支配人は、大学卒業直後の同世代の作品が「『自分たちにもできるんじゃないか。自分たちもやりたい』に、世の中を変えた」と力説した。

大学在学中にアルバイトで「超時空要塞マクロス」のオープニングの絵コンテを手がけたくらいで、アニメ製作経験はほとんどなかった。映画評論家・淀川長治の「1本の映画を10回見なさい」の言葉を胸に、同じ映画を何度も繰り返し見て理解を深め、映画の手法を学んだことを紹介した。また、アニメ製作は「パーツを脳内で組み立てる。完成図はこっちにしかない。完全にこちら側の世界」と、実写との違いを説明した。

また、「エヴァは庵野の企画。僕は邪魔にならないようにしていたくらいで、参加した感はない」と言い、「エヴァ」以降、ガイナックスが「エヴァの会社」になり、「エヴァ」以外のことは「ごほうび、趣味になった」と語った。

40年間の製作現場の変化を「トライアンドエラーで、画期的なことができるようになった。僕らは個々の作家性を省く集団戦だったけれど、コンピューターを使いSNS(交流サイト)で発信できる今は、1人が自分のセンスで勝負ができる」と評した。

また、近兼支配人が企画立案中の「国際映画祭」のアニメーション部門の審査員就任は「自分は現役なので」と断った。

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