市内「空き家」1751戸 7年で6・6%増 管理の帰省「しんどい」

2023.07.08
地域

地域別の空き家戸数と、総合判定別空き家戸数

兵庫県丹波市が2022年度に行った空き家調査で、1751戸が「空き家」と判定され、15年度の前回調査時から108戸増えた(6・6%増)。店舗や倉庫を省くと1500戸。同市内の柏原、氷上、春日地域は減り、市島、青垣、山南地域で増えた。また、所有者に行ったアンケートの回答者のうち60代以上が82%を占めた。現在の居住地から管理のために帰省するのもしんどくなりつつある実態が浮かび上がった。今年度に改定する「空き家対策計画」の基礎資料とする。

水道閉栓情報や自治会からの情報提供、前回調査で空き家と判定した建物など2018戸を、外観目視で実態調査。郵便受けや近隣住民の情報、電気・ガスメーターなどの状況から判定した。

市島で前回調査より29・5%、青垣で16・2%、山南で11・9%増えた一方で、柏原で10・6%、春日で2%、氷上で0・5%減った。住民基本台帳の世帯数を、「空き家」判定した戸数で割る「空き家率」は、市全体で6・7%。青垣で11・7%と高く、市島で7・9%、山南で7・1%、春日で6・5%、氷上で5・8%、柏原で4%だった。

旧町域をさらに小地域で見ると、氷上町成松、同町石生、市島町下竹田、春日町黒井、柏原町柏原の5地区が、空き家戸数が「51戸―100戸」と最も多い区分に入り、市街地の空き家も多い。

また、空き家と判定した物件を、▽建物の傾斜など「保安」▽ごみの散乱など「衛生」▽立木や雑草の繁茂など「生活」▽外壁や窓ガラスなどの「防犯」―など12項目で評価し、問題なし「A」、注意「B」、管理不全「C」に分類した。

市全体で、Aは1000戸(57・1%)、Bは483戸(27・6%)、Cは268戸(15・3%)。前回調査比でランクCは減り、A、Bが増えた。

市外居住が7割超

市が所有者に維持・管理の状況や、今後の活用方法の意向を尋ねたアンケートは、回答者の35・7%が60代、35・2%が70代、11・1%が80代だった。居住地は、県外が36%、丹波市以外の県内が34・5%で、市外居住者が70%超を占めた。

空き家になってからの年数は、「10―20年未満」が28・7%、「20年以上」が16・3%だった一方、「1―3年未満」が10・3%など、10年未満が44・9%あり、新しく空き家が発生していることを裏付けた。

空き家を所有することで困っていること(複数回答)は、「火事や空き巣など防犯面」が14・7%で最多。「管理費や修繕費がかかる」「雑草の繁茂など近隣への被害」「家財道具など荷物の処分」が10%を超えた。「取り壊す費用がねん出できない」も8・6%あったほか、「取り壊すと固定資産税が上がるのではと心配」も7・6%あった。

空き家の維持・管理(複数回答)では、8割強が「自分または家族」で、外部への委託は進んでいない。困っていること(複数回答)は、「老朽化」が24・5%、「自宅から遠い」が16%、「建物の維持管理の手間」が13・1%、「空き家と共に農地の管理も必要」が12・8%、「管理するには体力的・年齢的に厳しい」が12・6%と続く。

今後の活用法は、「売却したい」が34・6%と最も多く、「現在と同じ利用方法を継続」が12・7%、「将来は自分や家族、親族が居住するつもり」が7・1%などだった。「地域やNPOなどに有効活用してもらいたい」は1・8%で、地域の活性化などで新たな利用を望む回答は少なかった。

アンケートは空き家1751戸中、所有者が分かった1276戸に郵送で実施。827件、64・8%が回答した。

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