外国人の避難先は? 日本語学ぶ人や市職員も参加 国際交流協会が研修会

2024.03.03
ニュース丹波市地域地域注目

地図で自宅と避難所の位置を確認し、外国人(中央)の安全な避難ルートを検討した研修会=兵庫県丹波市柏原町柏原で

石川県能登半島地震を受け、丹波市国際交流協会がこのほど、同市柏原住民センターに日本語教室の支援者(日本人12人)を集め、災害を在留外国人にどう教えるか、研修会を開いた。在留外国人5人と市職員12人が出席し、5人それぞれの自宅から最寄りの避難所を確認するなど、個別具体的な備えを考えた。参加した5人以外を情報から取り残さないために、市、協会がそれぞれ考えなければいけない点が浮かび上がった。

災害をテーマにした研修会、日本語を学ぶ当事者の参加、市職員の参加の全てが初めて。市内の在留外国人は1月末で1241人と、市民49人に1人を占める。どう言えば、易しい日本語で正確な避難指示などの情報を伝えられ、理解できるかを、支援者と学習者が一緒に考えた。

避難所の運営に関わる市職員も入り、地図を見ながら学習者のインドネシア人、ベトナム人、中国人が暮らす自宅の最寄りの避難所の位置を確認。川や土砂崩れの危険性の少ない所を選んで避難所までたどり着くルートを、洪水、土砂災害、地震などを想定してそれぞれ考えた。高層階に住む人は、洪水時は避難せず自宅にとどまった方が良いことも伝えた。

「丹波市でどんな災害が起こると思いますか」の質問に、学習者のインドネシア人、ベトナム人は「台風」と回答。「母国で地震に遭ったことがなく、日本で初めて地震を経験した」という学習者もあり、総じて災害への関心が薄く、備えもできていないことが浮き彫りになった。

柏原中心市街地に住み、市内の医療機関で働くレフリナ・シナガさん(インドネシア出身)の避難先を検討したグループは、「災害時、最初に開く避難所は、柏原住民センター。市職員がいて、情報があるので、ここに来るといいですよ。川の水が多いときは危ないので柏原住民センターではなく、柏原自治会館へ行ってください」などと助言。レフリナさんは「災害のことはあまり心配していないけれど、易しい言葉でよく分かった」と話していた。

市職員課の柳田なつよ課長は、「どうすれば、どういう形にすれば、情報が在留外国人に届きやすいか」と質問。同協会は、「協会が連絡先を把握できている在留外国人はLINEグループでお知らせできるが、協会が把握できているのはごく少数。私たちが被災したときに、連絡先が分かっている人にさえ、情報を届けられなくなる」と、行政として多種多様な発信を求めた。

山口直樹・国際交流協会長は「彼ら彼女らは、災害をあまり知らない。東日本大震災も知らない。今回、市職員に入ってもらって、個人的に参加者と連絡先を交換するなどの交流が生まれた。一番頼りになるのは人的ネットワーク。非常に良い会になった。(参加できた)5人以外にどう情報を伝え、人とのつながりをつくるか、引き続き取り組まなければならない問題だ」と意義と課題を口にした。

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