兵庫県丹波篠山市の丹波立杭陶磁器協同組合は、丹波焼の里を訪れた人がより気軽に、深く窯元と交流しやすい環境を整えるため、窯元の所在地だけでなく、各種情報や、窯元が日々発信する情報もリアルタイムに見ることができる「窯元周遊デジタルマップ」を作成した。丹波伝統工芸公園「立杭陶の郷」(同市今田町上立杭)のデジタルサイネージ(電子看板)に掲示するほか、個人のスマートフォンやパソコンでも閲覧可能。里を訪れてから、また訪れる前後にも情報収集できる。関係者は、「拠点の陶の郷に来ていただいた皆さんが、より窯元を身近に感じ、里を周遊してもらうツールになれば」と期待している。
マップ画面には、立杭地区を中心に各窯元や飲食店、拠点施設などが表示され、気になる場所を選択すると、住所や連絡先、営業時間などの基本情報のほか、現在地からの経路案内も出る。
また、窯元が使うエックス(旧ツイッター)やインスタグラムなどの交流サイト(SNS)の情報も表示され、どんな陶芸体験ができるか、その空き状況など、最新の情報を知ることができる。
里を訪れた人からの「窯元の場所などは紙の地図で分かるけれど、どこが空いていて、いつ工房見学ができるかなどが分からない」という声をきっかけに作成。普段からSNSで発信している窯元の情報を一体的に見ることができるシステムとして、「DNPプランニングネットワーク」が全国で展開しているデジタルマップを導入した。
陶の郷が文化庁の文化観光拠点計画に選定されていることから、同庁の補助金を活用。掲載する窯元などからも利用料を得て運用する。
システムを運用する一般社団法人「Satoyakuba(さとやくば)」の甲斐田由希さんは、「ゴールデンウイークには『春ものがたり』が開かれる。たくさんの人にマップを利用してもらい、窯元やお店のお客さんが増えてくれたらうれしい」と言い、「立杭の地域外にも広げて掲載店を増やし、市内のいろんな場所を周遊してもらえるようになれば」と期待している。