タクシーで”聖地巡礼” 新木宏典さんファンに向けツアー企画 移動手段の悩み解決へ

2024.04.02
地域注目観光

新木さんの”聖地巡礼”ができるタクシーツアーへの参加を呼びかける氷上観光の社員たち=兵庫県丹波市氷上町氷上で

氷上観光(兵庫県丹波市氷上町氷上)と丹波市観光協会が、舞台を中心に活躍する同市出身の俳優・新木宏典(ひろふみ)さん(40)が登場する市観光パンフレットのロケ地をタクシーで巡るツアーを始めた。客は好きな日を希望し、貸し切りで各地域を巡る6コースの中から選択できる。昨年から、新木さんの熱狂的なファンが同市に多く訪れており、駅から観光地までの距離が遠く、移動手段が少ないという声に応えた。

新木さんが昨夏に出した丹波市の魅力を紹介するフォトブック「”新”発見 丹波ガイド」の撮影写真を生かし、市観光協会などが製作した市観光パンフレット「陽だまり丹波めぐり」の掲載スポットを巡るツアー。

参加客はJR柏原駅(同市柏原町柏原)か、道の駅「丹波おばあちゃんの里」(同市春日町七日市)に集合。特産を味わえる飲食店や、鮮やかな花々が楽しめる農園や寺院、パラグライダーの体験施設など、新木さんが訪れた”聖地”を回る。

所要時間は約3時間。利用人数はタクシー1台につき、1―4人。代金は1人1万9000円で、4人で利用すれば、1人当たり5000円になる。カメラマンが同行する写真撮影オプション(4500円)もある。

フォトブック発売以降、多くのファンが掲載スポットを巡るようになり、同市に大きな経済効果をもたらしている。沖縄などの遠方から足を運ぶファンもいたという。

一方で、「バスが少なく、車がないと不便」という意見があり、「せっかくお越しいただいた方々に、より一層丹波市の魅力を知ってもらいたい」と考案した。

県タクシー協会丹波支部に加盟するタクシー会社5社も協力。氷上観光を合わせ、市内全6社のタクシーを運行させる。新木さんが所属する芸能事務所、ワタナベエンターテインメントにもツアー企画の許可を得た。

氷上観光の取締役業務部長、足立寿宏さん(54)は「バスツアーだと日にちが限定され、『○人からスタート』という縛りがある。全国各地のファンからすると参加が難しい。タクシーだと多少割高にはなるが、少人数で行きたい所へ行ける。小回りがきき、幅広い需要に応えられる」とメリットを語る。

新木さんの聖地巡礼にとどまらず、市内の花やスイーツなどの名所を巡るツアーのアイデアも温めている。旅行業界で勤め、40年以上の経験を持つ市観光協会観光戦略室長の中野浩明さん(69)は「高齢化が進み、車を運転できる人が減る中で、タクシーツアーは丹波市で観光を楽しむ新しい手段になり得る」と可能性を見出している。

ツアーは希望日の2週間前までに申し込むこと。

関連記事