兵庫県丹波市市島町上鴨阪の薬師寺(垂水恵光住職)で、飛鳥時代の皇族、聖徳太子が作ったと伝わる「薬師如来像」の御開扉が始まった。33年に1度しか公開されない秘仏で、病気平癒に御利益があるとされる木彫りの像を一目見ようと、県内外から多くの人が足を運んでいる。御開扉は27日まで。
高さ50センチほど。表面には黒い汚れが目立つが、原形はほぼとどめたままという。同像の手と、境内に立つ角塔婆をつなぐ綱を触ることで、御利益をもらえるようにしている。
同像は、龍蛇の水害を鎮めるために聖徳太子が彫ったものという。戦国武将、明智光秀の軍勢に攻められ、傷ついた兵士が像を背に山へ落ち延び、麓に祠を建てて祭ったという言い伝えも残る。
丹波新聞のネットニュースで秘仏公開を知り、歴史や仏像好きな人たちが多く足を運んでいる。法要を主催した同寺開扉委員会の角木隆久委員長(75)は「風情と歴史を感じる。御開扉をきっかけに、聖徳太子や光秀と地域の関係も知ることができ、勉強になった」と話していた。