障害ではなく「でこぼこ」
発達障がいや児童思春期の精神疾患が専門。昨年10月に着任した。日々の不安を安心に変えようと、子ども自身や保護者に優しいまなざしを向ける。
北海道出身。苫小牧のメンタルケアセンターに20年近く勤務。北海道は、就学前の段階から、不安があればアドバイスを受けられる仕組みができており、発達障がいの子どもたちが放課後に通うデイケアも盛んという。
「『障害』と言われるが、できること、できないことに『でこぼこ』があるだけ。でこぼこがはっきりしてくるまでに早期ケアができれば理想」と言う。できないことに対し、幼い頃から「お前は駄目だ」と叱られてばかりだと、ストレスによるうつなど2次障がいを起こす例もある。早いうちから、でこぼこを特性と捉え、できることを伸ばすケアをすることで、保護者も前向きにサポートするようになり、安定した生活につながる、と強調する。
香良病院は、発達特性を細かく診る知能検査も可能。目から記憶するタイプか、耳から記憶するタイプか、器用さ、などが分かる。「例えば、視覚タイプの子がお話中心の授業を受けたら、そりゃ大変。でも、写真や図を付けてサポートしてあげれば、ばっちり理解できる。診察に学校の先生に同席してもらえれば、保護者と共にそれぞれの立場でどのようにサポートし、良いところを伸ばしてやれるかを話し合える」
「幼い頃から診ていた子どもたちが、高校や大学進学、結婚、出産といった節目に遊びに来てくれる。そんな成長する姿が見られるのが励みであり、喜び。丹波でもそんな関係性をつくっていければ」。67歳。