任期満了に伴う丹波市長、市議会議員のダブル選挙が10日、告示された。投開票は17日。市長選に立候補した前市議の前川進介氏(46)=山南町南中=、現職の林時彦氏(70)=春日町野上野=、前市教育長の岸田隆博氏(66)=氷上町中野=、前市議の小橋昭彦氏(59)=春日町中山=、元県職員の岩崎政義氏(69)=柏原町柏原=の5氏(届け出順)が選挙事務所などで第一声を上げ、それぞれ支持を訴えた。市議選(定数18)には20人が立候補した。
◆前川氏「水道基本料金を半額化」
前川氏は、約40人が集まった山南町奥の後援会事務所で第一声を放ち、「今回の丹波市長選挙は、丹波市を変えるか、変えないかを決める選挙だ」と切り出した。
進む過疎化への対策を示し、「特に若い女性が移住しやすい市にしたい。女性の声を市政に反映させるため、市長の諮問機関『女性議会』を立ち上げる」などと主張した。
また、地域課題を解決するようなビジネスモデルを行政主導で立ち上げ、そこに企業を誘致するとした。例として、規格外野菜を一次加工して給食に使う事業や、廃校を活用した陸上養殖により、海産物の地産地消に取り組むことなどを訴えた。
暮らしやすい市に変えるため、水道基本料金の半額化を公約に掲げた。「市では年間3億円以上の漏水が発生し、その補修工事に2億円以上かかっている。毎年5億円以上を垂れ流している」と主張。「水圧が高い所はよく漏れ、低い所はそんなに漏れてないという相関関係がある」とした。
中でも青垣地域の漏水が多いと述べ、減圧などで漏水する率を下げ、水道事業会計を健全化させて水道基本料金の半額化につなげるとした。
◆林氏「市民に寄り添う施策継続」
林氏は、春日町黒井の選挙事務所で約70人を前に第一声。「みなさんの暮らしを応援していきたい。これからも丹波市で暮らしていけ、我が子に帰って来いよと言えるまちを進めていきたい」と訴えた。
「県内で一番高いと言われたごみ袋の半額化をやっとできた。ずっと市民に寄り添った、生活ができるまちを作っていきたい」とした。また、「過去4年間で総額24億円分発行した、プレミアム付き商品券の発行を継続したい。大変好評な『ハッピーバース手当』(出産祝い金)を継続する」と施策の継続をアピールした。
新たに、給食無償化による子育て支援や、市内企業とタイアップし、学生の奨学金の返済負担を軽くすることで働く若者を支援するとした。「3分の1の大学生が、大きな奨学金の返還義務を負って卒業する。市内にはすばらしい企業があるが、人材確保に悩んでいる」と、市内への就職を促し、課題解決につなげたい考えを示した。
全国4カ所の研究で唯一、丹波市で予防効果が認められた神戸大との認知症予防体操で高齢者支援をするほか、地場産業、建設業、農業、商工業を支えるとした。
◆岸田氏「トップがビジョン示し変革」
岸田氏は、約100人が集まった氷上町市辺の選挙事務所で第一声。「丹波市が抱える課題と目指すべき未来について考えた中で、市政改革に向けて、私自身が先陣を切って挑戦する覚悟をした」と切り出した。「今、丹波市に必要なのは、トップが、目指すべきビジョンをしっかりと示し、それに向かって進むこと」とし、「子どもから高齢者まで活力あふれるまち、住みたい、希望がある、住みやすい、安心・安全、住み続けたいと市民が誇れるまちをつくりたい」と語った。
市の大きな課題として人口減少を挙げた岸田氏。「原因は若者が丹波市に戻ってこないこと。理由はまちに魅力や活力がないからだ。若者はまちの未来に期待が持てないと思えば去っていく。このまま何もしなければ人口減少は加速し、経済は減速する一方だ」と危機感を表し、「若者や若い女性が魅力を感じるまちづくりが急務で、変革が必要。トップの役割は、前例踏襲にとらわれることなく、より良い方向に向かって進もうとする組織に変えること。課題解決に向かって挑戦する職員を育成する職場づくりをしたい」などと述べた。
◆小橋氏「投資戦略で経済活性と雇用創出」
小橋氏は、柏原町田路の選挙事務所で100人以上の支援者を前に第一声を上げた。まず、「やさしく楽しい未来へ。」というキャッチフレーズに込めた思いを説明。「年齢や性別、国籍、障がいの程度に関わらず、お互いを支え合えて、一人ひとりが夢や趣味、希望の実現に取り組める社会をつくりたい」と訴えた。
また、30、40歳代の子育て世代の女性たちと考案した政策を紹介。市の課題解決につなげる八つの政策集「丹波八策」では、広報力強化といった行政改革や、高齢者が元気に出かけられる社会の実現などを掲げた。
「夢計画21」と銘打った投資戦略では、市内6町の多様性を生かして経済を成長させ、雇用の場を創出するとした。例えば、藩校があった柏原地域では人工知能(AI)を学べる大学を、夏の愛宕祭で「造り物」の文化がある氷上町ではアニメなどのコンテンツ産業を誘致したいとした。
「これほど具体的な政策を他の誰に考えられるだろう。実現すれば必ず、希望に満ちた、子どもたちに誇れるまちに変わる」と力強く語った。
◆岩崎氏「市内基幹道路に自転車歩道整備」
岩崎氏は、氷上町本郷の路上で第一声。「丹波市の基幹道路である国道175号や176号、県道青垣柏原線に自転車歩道を整備し、市民や通学生徒の安全を確保する。国や県に要望する」と切り出し、過去2回挑戦した市長選で訴えた内容を繰り返した。
市島地域と福知山市を結ぶ塩津峠のトンネル工事や、青垣地域と同市を結ぶ穴裏峠にも歩道を設置し、2車線道路に改良するとした。
学校のいじめ問題にも言及し、「市に『いじめ対策課』を設置し、いじめをなくす」と主張。現在は「かいばら一番館」になっている旧市柏原支所を、「観光・学習の拠点とする」とした。
自身が市長になった場合、副市長を2人置くとし、「1人は女性副市長を登用し、女性目線で行政を見る」と述べた。また、複数種類の生理用品を用意し、女性市民に無料で支給すると訴えた。
国防の大切さについても力強く主張。憲法9条をすべて削除して国防軍を組織すると述べ、「他国から侵略された時は、陸海空の国防軍により、国民の生命、財産、領土を防衛するよう、政府に要望する」と語った。
市議選の立候補者は届け出順に、太田一誠氏(63)、須原弥生氏(62)、酒井浩二氏(68)、家田優樹氏(27)、足立嘉正氏(64)、大嶋恵子氏(69)、東坂範雄氏(64)、小川庄策氏(56)、成田忠治氏(55)、西本嘉宏氏(77)、谷水雄一氏(47)、前田安城氏(48)、高橋麻美氏(49)、大垣利明氏(52)、奥村正行氏(73)、細見昭文氏(76)、十倉浩氏(54)、吉積毅氏(61)、廣田眞由美氏(69)、根田敬介氏(46)の20人。