福住に工房や店続々と 2夫婦移住し準備中

2012.03.29
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 篠山市の福住地区財産管理組合 (臼井辰雄組合長) が所有する、 篠山市福住のJA丹波ささやま旧福住支店が、吹きガラス工房と古家具の修理工房として生まれ変わる。 同地区では、 ほかに古民家を改修した、 イタリアンレストランや田舎暮らし体験施設、 素泊まり民宿なども新年度にオープンの計画。 国重要伝統的建造物群保存地区 (伝建地区) の今秋の選定を目指し、 まちが変わろうとしている。

 同組合と福住地区まちづくり協議会 (麻田馨会長) が、 昨年から跡地利用について考えてきた。

 吹きガラス工房は、 大阪市城東区で創作活動していた関野亮さん (34)、 裕子さん (26) 夫妻が手がける。 瓦葺きの施設で自ら窯や設備を整えていく。 半年ほどで完成させる計画。 体験教室や講座、 受注生産などを行う。

 亮さんは高校卒業後、 専門学校で吹きガラスを習い、 創作活動を続けてきた。 窯を持ちたいと思い、 物件を探していたところ、 古民家が並ぶ街道沿いの風景や工房にする旧JA倉庫の雰囲気、 「古き良きものを新しく良いものにするまちの姿勢」 に魅力を感じ、 移住を決意した。

 大阪芸術大学で指導していた頃に出会った裕子さんと今月3日に結婚し、 10日に転居した。 工房の名前は、 裕子さんが 「福が住むまち」 にちなみ、 イタリア語で 「幸福=ソルテ」 を意味する 「ソルテグラス」 と名付けた。

 また、 古家具修理工房は、 篠山市内で森林作業などに従事している竹内照尚 (てるひさ) さん (41) が改装し、 5月ごろのオープンを目指す。 現在、 住居を探している。

 住宅兼イタリアンレストランは神戸市東灘区で10年間、 エスプレッソコーヒーやイタリア料理を提供してきた兼井昌二さん (46)、 英子さん夫妻が3歳の長男とともに4月3日に転居する予定。 すでに、 一般社団法人ノオトと同協議会が一般住民を募り、 1月末から築150年の古民家の 「改修ワークショップ」 を開き、 7割がた完成したという。 4月27日にプレオープンし、 エスプレッソコーヒーや、 イタリアのサンドイッチ 「パニーニ」、 イタリアのお菓子 「ドルチェ」 を提供。 5月中旬に本格オープンする予定。

 兼井さん夫妻は、 郷土料理や家庭料理が豊富なイタリアが大好きで、 特にトスカーナ地方がお気に入り。 知り合いを通じて紹介してもらった篠山に初めて訪れ、 築150年の古民家の雰囲気や土蔵、 まちの雰囲気に魅力を感じ、 「日本のトスカーナ」 と移住を決めた。

 店は、 地元に愛されるイタリアの大衆食堂 「トラットリア」 として、 地元産のものを豊富に使った料理を提供したり、 カウンターで気軽にワインやエスプレッソが立ち飲みできるスペースも設ける。 店名は、 昌二さんの得意な煮込み料理 (ラグー) にちなみ、 「トラットリア・アル・ラグー」 と英子さんが名付けた。

 同地区は、 7月をめどに文化庁に伝建地区選定を申請する計画。 同地区は保存価値が高いまちを国が選定し、 修理・修景などに補助する制度。 全国に93地区あり、 近畿では17地区。 兵庫県では篠山市の城下町、 神戸市北野、 豊岡市出石の3地区。 近畿で1市に2地区以上の選定は、 京都市のみ。

 麻田会長は 「高齢化する中で、 若い人に住んでもらい、 地元に早く溶けこんでもらって一緒にまちづくりを進めたい。 地区のさまざまな施設や店などが連携していければ」 と話している。

 

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