野田佳彦首相が4月7日、 県立柏原病院 (足立確郎院長) を視察した。 社会保障と税の一体改革を進める中で、 地域医療の在り方について関係者と意見交換するのが目的。 同病院が小児科医不足に直面した際に、 地域の母親らが立ち上げた、 開業医と病院を使い分けることで勤務医の負担軽減に努めようと活動する 「県立柏原病院の小児科を守る会」 の活動の様子を聞き、 「地域医療を守ろうと、 提供する側と受ける側が一体的に取り組んでいる先進的な地域。 医療サービスを受ける側の高い問題意識があった。 一体改革の議論の最中であり、 大変参考になった」 と述べた。
意見交換には、 「守る会」 の丹生裕子代表、 井戸敏三県知事、 柏原病院に多くの医師を派遣している神戸大学医学部附属病院の杉村和朗病院長、 足立院長、 辻重五郎丹波市長、 田中潔市医師会長、 水岡俊一総理大臣補佐官 (参議院議員) が出席した。
野田首相のあいさつに続き、 井戸知事が県の医療提供体制、 足立院長が同病院の状況、 丹生代表が同会の取り組みをそれぞれ報告した。
「意見交換のようすを参考にしたい」 との首相の意向で、 首相は質問せず、 司会の大野伯和同病院副院長が出席者に投げかけた、 「県立柏原病院の今後の診療機能回復にどのように取り組むか」 「今後どのような診療機能の充実が必要で、 どんな方策をとっていくか」 の2点の議論を聞きとり、 時折ペンを走らせた。
会で取り組んでいる、 医療者に感謝の思いを伝える 「ありがとうメッセージ」 を説明する丹生代表から、 「総理も、 かかりつけのお医者さんなど、 普段お世話になっている方にカードを書かれてはいかがでしょう」 と水を向けられると、 表情を崩し、 笑みを浮かべる一幕もあった。
意見交換終了後、 色紙に 「素志貫徹」 と揮ごうし、 参加者と記念写真に収まった。
初めて 「守る会」 の取り組みを聞いた杉村病院長は、 「感動を受ける話で、 非常に分かりやすい説明だった。 他の領域にこれを広げていけたら」 と話していた。
野田首相は懇談に先立ち、 足立院長の案内で、 同病院の小児科病棟を見学した。
写真・「守る会」 の丹生代表 (右端) から 「総理もぜひかかりつけのお医者さんなどに感謝のカードを書かれては」 と水を向けられ、 笑顔を見せる野田首相=県立柏原病院で