丹波焼の里、 篠山市今田町の立杭地区で、 ゴールデンウイーク期間中の4月30日―5日の6日間、 普段は見られない登り窯の焼成作業を見学できる初のイベントが行われた。 同イベント会場となった市野浩さんの陶幸窯 (同町上立杭) をはじめとする4窯元には、 地元だけでなく、 都市部からも多くの見学者が訪れ、 約1300度に達する窯内の熱気と800年以上にわたって受け継がれてきた伝統の技に触れた。
陶幸窯の焼成作業は、 登り窯ではなく、 焼成部屋が1部屋の穴窯で行われた。 浩さんは、 窯の正面に設けられた薪の投入口から見える窯内の陶器と、 炎の色に気を配りながら、 約5分間おきに薪を投入した。 薪がくべられるとすぐに火の勢いが強まり、 窯の数カ所に設けられた焚 (たき) 口から炎があふれ出した。
「穴窯は小さい分、 数多くは焼けないが、 自然釉がたっぷりとかかるのがメリット」 と、 汗だくの額をぬぐいながら話す浩さん。 3日3晩 (約72時間)、 窯を焚き続ける焼成作業。 それに要する薪の数は約350束にもなるという。
3日から始まった焼成作業は、 浩さんと息子の翔太さんが交代しながら行い、 5日の深夜、 午前1時ごろまで続けられた。