名工「丹波佐吉」にちなみ再現「石の尺八」 6代目難波さん

2013.10.20
ニュース丹波市

写真・製作した石の尺八を手にする難波金兵衛さん (左) と、 催し「丹波佐吉物語」 で演奏する米谷威慶さん=柏原町南多田で

 孝明天皇から 「日本一」 の名工と称賛された石工、 丹波佐吉を偲ぶ講話と演奏会からなる催し 「丹波佐吉物語」 (丹波佐吉会主催) が、 11月4日午後2時から丹波の森公苑で行われる。 佐吉が石工仲間と技比べをした際、 音の出る石の尺八を作って驚かせた―とされるいわれに基づいて6代目難波金兵衛さん (58) =丹波市柏原町大新屋=が石の尺八を製作。 演奏会で披露する。

 昨年10月の同様の演奏会の際、 プロデューサーの小野瀬晃一さんに 「作っては」 と提案されたのがきっかけ。 以降、 構想を練り、 今年8月から製作にかかった。 地元大新屋で採れた粘りのある 「新屋石」 を使用。 最もポピュラーな形の一尺八寸 (約54・5センチ) の尺八を1カ月がかりで作り上げた。

 四角柱の石を手動の機械で削り、 両側から穴を開けて貫通させた。 また、 ノミを使った手仕事で、 竹の尺八のような反りや、 竹の節などの細部まで再現した。 重さは約1キロ。

 竹の尺八は、 穴の中を微妙に削って調律されるが、 石の尺八の場合はそれができない。 演奏会で石の尺八を吹く柏原民謡秀敦会の米谷威慶さん (56) =柏原町南多田=は、 「調律ができないので音程は不安定だが、 十分に鳴る。 すごい技術」 と驚いている。

 難波さんは、 「最初は本当にできるのかと不安だった。 機械のない佐吉の時代にどんな道具で作ったのだろうかとまず思った。 尺八は最初で最後の作品。 気に入っている」 と笑顔を見せた。 本番では、 小野瀬さんが作曲した 「丹波佐吉物語」 を難波さんが歌う際、 ナレーションのバックで石の尺八の音色が響く。

 

 催しでは、「丹波佐吉を偲ぶ」 をテーマに15代目上山家当主の上山勝也さん、 元柏原町長の梅垣隆さん、 柏原八幡神社宮司の千種正裕さん、 柏原町歴史の会長の竹内脩さん、 大新屋上山代官所跡オーナーの光井章さんの5人のパネルディスカッションの後、 難波さんが 「丹波佐吉物語」 を熱唱する。

 このほか、 オオカワ教室踊りグループ、 柏原民謡秀敦会、 和太鼓 「桴桴 (バチバチ)」、 竹山流津軽三味線栄山会、 民謡歌手の初代須藤雲栄さんと2代目ら総勢約40人が出演する。 チケットは、 一般1500円、 学生・障がい者1000円。 かいばら観光案内所 (0795・73・0303) で販売している。

 

丹波佐吉】文化13年(1816)、 和田山町に生まれ、 7歳の時から初代難波金兵衛のもとで腕を磨いた。 大阪にいた30歳代のころ、 石工仲間から技比べを挑まれて作ったのが石の尺八。 この勝負に勝った佐吉の評判が広まり、時の天皇に「日本一」 と称賛された。 柏原八幡神社の狛犬は佐吉の作品。

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