丹波市は3日、 昨年9月に水道部職員3人を告訴した不正事務処理事件以前の、 2010年度の実施設計業務にも出来高不足があったことが判明したと発表した。 同業務が終わっていないのに委託会社に全額支払っていた。 市は、「水道部の体質として常態化していた」 ことを認め、 同職員3人の告訴を取り消す方針。 市は同日の定例会初日に提案する予定だった水道部と建設部下水道課の統合に関連する議案を 「事実の究明が終わってから」 と判断し、 提案を見送った。
市によると、 11月7日に、 来年度の予算編成作業を進める中で、 10年度に完了しているはずの実施設計の一部設計書の欠如が判明。 その後、 この委託会社が昨年の事案に関し、 丹波署の捜査を受ける中で、 市の求めに応じ、 関係資料を市に提出したことで、 実際は業務が完了していなかったことが明らかになると共に、 完了前に業者に委託料全額を支払う不適切支出があったことが発覚した。
昨年8月にも、 水道事業の設計委託業務が完了していないにも関わらず、 水道部の担当職員が100%完了したとする虚偽の検査調書を作り、 業者に委託料を満額支払っていた。
今回、 実施設計業務を受託したのは、 昨年8月の業者とは異なる会社。
昨年の事案発覚後、 市は同様に 「先払い」 などがないか調査したが、 気付かなかった。 市水道部は、 「細部まで詰め切れておらず、 調査不足だった」 とした。
昨年8月の不適切支出時は、 水道部内で完了検査をしたが、 今回は事業の進捗などを監理する事業監理課が同検査を行った。
市は、 「捜査中なので控えたい」 とし、 業者名や対象事業カ所、 委託料の金額など、 事業内容の詳細は明かさなかった。
市は水道事業について、 11月7日以降、 実施設計が終わっているもので出来高不足 (先払い) になっているものがないか調査するよう指示した。
辻市長は、 「職員の 『もう他にはしていない』 という言葉を信じていた。 非常に驚きであり、 重大な責任を感じている。 管理監督責任は私にあり、 責任の取り方もはっきりする」 と謝罪した。
同日朝に開かれた議員総会では、 第三者による調査委員会の設置を求める意見もあり、 市は 「検討する」 とした。
奥村正行議長は、 「議会としても調査しなければならないが、 警察の捜査が終わらなければ、 当局も答弁できない。 市民と行政の信頼関係がなくなり、 他の事業に悪影響が出ないか心配だ」 と話した。
◎告訴取り消しへ 昨年の事案関与の3人
昨年8月の事案に関し、 市は当時の水道部職員3人を告訴したが、 今回の事案で別の職員も同様の手続きをしていることが疑われるため、 「個人の資質ではなく、 組織として問題があった」 として、 3人だけを告訴することは適切でないと判断。 警察の捜査が終了した時点で、 贈収賄がなかったことを確認した上で告訴を取り消す方針。