県道丹波加美線清水坂トンネル (4423メートル、 うちトンネル1931メートル) の供用が12月21日午後3時に始まる。 県道でありながら山に隔てられ、 車が通行できなかった、 丹波市氷上町三原と多可町加美区清水が結ばれる。 加美区には6580人 (11月1日現在、 住民基本台帳) が暮らしており、 丹波市への入り込み客が増え、 商業活性化に期待が高まっている。
株式会社 「かどの」 が運営する 「やすら樹」 (丹波市氷上町清住) は、 開通を機に、 加美区全域を無料送迎区間に加えた。 同施設から、 旧加美町役場 (現加美地域局、 豊部) まで、 トンネルを通れば16キロ。 信号機は1つだ。 Aコープがある、 加美区のもう1つの中心地、 寺内でも19キロ。 宴会や宿泊の誘客をはかる。 施設案内の新聞折込みを同区全域に入れる。 十倉孝実総支配人は、 「トンネルを通れば、 15分、 20分くらいでかなりの面積をカバーできる。 加美区は飲食店が少なく、 期待している」 と言う。 開通日の21日夜には、 トンネル開通後第1号となる宴会客を迎える。 記念品を贈ることにしている。
「かどのの郷」 (同町上新庄) の山口善男施設長も、 「交通量が増える。 立ち寄ってもらえるよう、 工夫したい」 と言う。
3人の子どもを持つ加美区の41歳男性会社員は、 「西脇の 『カナート』 が閉まり、 回転寿司も撤退した。 『ゆめタウン』 などへ買い物や、 柏原バイパスに外食に行く人が、 今以上に増えるだろう」 と予想する。 加美区に比較的近い大型のショッピングセンターは、 加西市のイオンモールだが、 「遠く、 大き過ぎる。 『ゆめタウン』 ぐらいがちょうどのサイズ」 と言う。
国道427号と、 同トンネルへのアクセス道路の交差点は、 杉原川に沿って、 南北18・7キロと長細い加美区の中央からやや北寄り (青垣寄り)。 合流点近くの住民はこれまで、 「ゆめタウン」 まで青垣回り (春日和田山道を利用) で32キロ、 山南回り (牧山トンネル経由) で30キロなのが、 14、 15キロと大幅にアクセスが改善する。 加美地域局から、 「ゆめタウン」 までもトンネルによって18キロほどと約5キロ短縮される。 その間の信号機は3―4機だ。
ゆめタウン氷上店を運営するタンバンベルグによると、 同店専門店街の買い物客に占める多可町加美区、 中区の比率は4・3% (ポイントカードベース)という。同社は、「トンネル開通への期待はものすごくある。 町が1つ商圏に加わるところまで行けばいいが」と、チラシ戦略を練る。 年明けの1月中旬に多可町のゆるキャラを招くイベントを計画中。
加美区の南端に近い、 多可町中区田野口で 「辰巳木工」 を営む足立達美さん (62) は、 38年間、 氷上町賀茂の自宅から、 車で山南町小野尻回りで通勤していたが、 開通後はトンネルを使うつもり。 距離はあまり短縮されないが、 「信号機の数が少ないので、 時間短縮になる」 と期待する。
北はりま消防多可消防署 (多可町中区) は、 加美区北部の患者について 「これまでほとんど要請することがなかった丹波市の医療機関への受け入れを要請するケースも出てくるだろう」 と話している。