桧皮採取 国が認定 慧日寺が有形文化財に 審議会答申

2014.07.20
ニュース丹波市

国の有形文化財に登録される慧日寺の本殿、庫裏、鐘楼 (左から)=丹波市山南町太田で 全国の国宝や重要文化財建造物の屋根に用いられている桧皮 (ひわだ) の採取が 「選定保存技術」 に選定され、 この技術を持つ原皮師 (もとかわし) の大野浩二さん (49) =丹波市山南町上滝=が 「保持者」 に認定される。 また、 同市山南町太田の慧日寺を含む166件の建造物が新たに国登録有形文化財となる。 いずれも18日に行われた文化審議会文化財分科会で議決され、 文部科学大臣に答申。 近く官報告示される。

大野さんの亡父、 豊氏も同選定保存技術の保持者だった。 桧皮採取は、 ヒノキの立木から桧皮を剥ぎ取る技術。 縄をたくみに使って足掛りとして木に登り、 木製のヘラを用いて皮を剥ぐ。 剥いだ皮は一定の長さに切りそろえ結束。 屋根葺用の製品として整形される。

大野さんは高校卒業後、 父・豊氏に師事すると同時に、 地元山南町にある文化財屋根葺士養成研修所に入所し、 桧皮葺の技術も習得した。 大野さんの採取した桧皮は、 国宝の明通寺三重塔、 善光寺本堂など、 全国の国宝や重要文化財の修理に用いられた。

代表取締役を務める大野檜皮工業で若手技術者を育てるかたわら、 全国社寺等屋根工事技術保存会が主催する研修会でも指導員を務め、 後進の指導、 育成に尽力している。

また、 慧日寺で国の有形文化財に登録されたのは、 ▽方丈 (本殿) =木造平屋、 茅葺、 江戸時代後期▽庫裏=同▽経蔵=木造2階、 桟瓦葺、 江戸時代後期▽鐘楼=木造2階、 桧皮葺、 慶応3年▽裏門=木造平屋、 銅板葺、 江戸時代後期―の5棟。 いずれも大規模な改修や増築はされていない。

門脇靖巌住職 (65) は、 「見学やお参りで来られ、 茅葺屋根を見てびっくりされる方は多い。 登録を受けた以上、 これからも大切に保存していかなくては」 と話している。

同市内ではこれまでに、 蘆田家住宅 (青垣町東芦田)、 西山酒造場 (市島中竹田)、 旧上久下村営上滝発電所 (山南町上滝) が国の文化財に登録されている。

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