柏原赤十字は廃止 2病院統合で井戸知事会見 新県立病院開設の2018年度

2014.09.11
ニュース丹波市

統合再編の方針が明らかになった兵庫県立柏原病院(上)と柏原赤十字病院

井戸敏三兵庫県知事が9月8日、 県庁で会見し、 県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合再編基本方針を明らかにした。 2018年度 (平成30年) を目途に県立県営の新病院 (概ね300床程度) を開設し、 両病院を統合。 柏原赤十字は、 新病院開院時に廃止する。 同病院の職員について 「希望通り引き受ける。 もとより協力して頂かなければいけない」 と県が受け入れる考えを示した。 また、 新病院の位置は 「現行の県立柏原でも柏原赤十字でもない」 と、 新築移転を明言した。 月内に両病院統合再編検討懇話会 (仮称) を立ち上げ、 12月に基本計画を策定する。 整備費は200億円程度を見込む。

両病院が提供してきた診療機能やサービスは原則として県立の新病院が引き継ぐ。 新病院に隣接して、 在宅医療や健診機能などを持つ保健福祉施設を丹波市と協議の上、 整備する。 整備主体と運営主体は、 「市と協議の上で決める」 とした。

診療機能の詳細は、 基本計画で定める。 地域医療を担う医師の育成拠点とするため、 充実した指導体制や研修環境を整備し、 若手医師らにとって魅力のある研修プログラムを提供する。

病床数は、 基本計画で定める。 新病院の整備場所は、 丹波市内で必要面積、 交通の利便性、 救急搬送経路、 災害リスクなどを勘案し、 基本計画で定める。

懇話会は今月と来月に開催。 市長、 市医師会長や自治会代表らが委員を務める見通し。 診療機能や整備場所の意見聴取を行う。 11月にパブリックコメント、 12月に基本計画を策定するスケジュール。 来年度が基本設計と実施設計、 16年度から建設工事が2年半かかる見通し。

井戸知事は統合に同意した理由を、 「両病院とも古い。 お互い建て直し時期が来ているなら一緒にやった方がいいのではないか」 と述べた。 県立と赤十字の機能で競合部分が少ないことも理由に挙げた。「医師を確保しやすい体制を持ちたい。 小さな病院ではなかなか難しい。 病院としての総合力を高め、 医師を確保したい」 と新病院への思いを語った。

両病院について、 県が設置した 「丹波市域の医療提供体制のあり方等に関する検討会」 が2012年11月に 「2病院の統合が望ましい」 とする提言を井戸知事に提出していた。

両病院は、 04年の新臨床研修医制度の影響を受け、 医師の引き揚げ、 診療科の閉鎖に伴う病棟閉鎖で収益が急激に悪化。 05―12年度までに生じた赤字は、 県立柏原で85億8100万円 (一般会計繰入後)、柏原赤十字で19億9000万円と、 2病院で105億円に達した。

また、 両病院の病棟は、 柏原赤十字が1961―81年、 県立柏原が79―2004年の整備と、 更新時期を迎えていた。

柏原赤十字は、 1935年 (昭和10) に開設。 柏原町立柏原病院が日赤に移管された。 前身は1897年(明治30)設立の氷上郡立柏原病院。 120年の歴史に幕を下ろす。

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