丹波市職員ら2人逮捕 消防車入札情報漏らした疑い

2014.10.29
ニュース丹波市

松尾容疑者宅に家宅捜索に入る兵庫県警の捜査員=兵庫県丹波市氷上町石生で

兵庫県丹波市の消防自動車購入をめぐり、 県警捜査2課は10月28日、 同市消防本部係長の松尾恒伸容疑者 (47) と三田市の消防車販売会社 「モリタ」 社員の水本裕二容疑者 (35) を、 公契約関係入札妨害などの容疑で逮捕した。 調べによると、 昨年8月下旬、 丹波市発注の化学消防ポンプ自動車の入札 (10社参加) に関し、 松尾容疑者が水本容疑者に実施設計額を教え、 同社大阪支店 (大阪市) に落札させた疑い。 落札価格は5350万円だった。 2人は大筋で容疑を認めているという。 同課は同日、 容疑者の自宅などを捜索した。これまで化学ポンプ車積載用ボンベ購入の不正事務を市議会百条委員会や第三者委員会が調べていたが、別件で逮捕者が出た。

西宮市で開かれていた阪神丹波市長会に出席していた辻重五郎市長は、 同会を中座して市役所に戻り、 記者会見で 「市民のみなさんの不信をさらに招き、 大変残念だ。 詳細の中身が確認できていないが、 事実確認をし、 市民にも説明し、 厳正に対処していきたい」 と謝罪し、 「法令遵守に関する基本方針を至急立てる」 と話した。

松尾容疑者は消防車両の購入に関し、 担当者が積算した設計書に対し、 指導、 修正する立場にあるが、 今回の入札事務にどう関わったか、 市は把握していない。 開札から逆算して、 2―3カ月前には実施設計額が確定しているのが、 一般的なスケジュールという。

同本部によると、 同消防本部が保有している消防ポンプ自動車、 化学消防ポンプ自動車、 救助工作車の3台は、 2009年から13年の間に導入、 更新しており、 いずれも同社から購入している。

今回、 問題となった化学消防ポンプ自動車には、 水に泡消火薬剤を混合し、 発泡した状態で放水できる 「CAFS」 という装備が付いており、 これは同社特有のものという。 少ない水量で済み、 ホース重量が軽くなるため、 隊員の機動性が高まるなどの利点がある。

前消防長の大石欣司・市防災担当部長は、 同容疑者について 「本部内で救急救命士の資格を取得した第1号でもあり、 物事に熱心に取り組み、 明るい性格」 と話した。

今年1月に発覚したボンベ購入 (34万7000円) をめぐる不正入札事務で、 同容疑者は、 当時の副課長の指示を受け、 落札業者を差し替える不正事務に関与したことが明らかになっており、 市会百条委で、 副課長からパワハラを受けていたと証言している。 鬼頭哲也副市長によると、 発覚当初の内部調査で、 ボンベ購入以外の入札関係業務で不正を行っていないかという問いに対し、 同容疑者は文書で 「ない」 と回答していた。

 

 

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