兵庫県丹波市が青垣町東芦田に新設した水源の水から国の基準値を超えるマンガンが検出された問題で、 市はマンガンを除去した上で、 当初の計画通りに飲料水として青垣町佐治、 芦田、 氷上町幸世の各地区に配水する方針を固めた。これに伴い、マンガン除去装置の設置費用約5000万円を含む水道施設統合整備事業費 (12億2958万円) を新年度当初予算案に盛り込んだ。 配水予定地区からは 「現行通りの水を」と新水源の利用に反対する声が根強く、 市議会での議論の中身や判断が注目される。
国の基準値 (蛇口から出る水の値) は、 「0・05以下」。 同新水源の水の値は、 変動しているが、 「平均で0・1程度」 (市水道部) という。
同装置の実施設計は、 2013年度に完了。 西芦田浄水場内に設置する。 市の配水計画は、 新水源の水からマンガンを取り除いた後、 西芦田浄水場の水とブレンドし、 3地区に配水。 幸世地区の桟敷水源の水を春日地域に送る―というもの。
市水道部は 「計画通りの配水」 に至った考え方について 「マンガンを除去すれば、 安全な水だというのが基本にある。 新水源の水を直接、 春日に送るなど、 当初計画以外の方法も検討し、 費用対効果を含めて総合的に判断した結果」 としている。
市は今月に入り、 辻重五郎市長も同席し、 青垣、 幸世の各自治協議会 (振興会) の代表らに、 マンガン除去装置の費用を予算化すること、 当初計画の通りに配水する方針を固めたことを説明したが、 「地元の理解は得られていない」 としている。
取材に対し辻市長は、 「議会で承認いただければ、 配水地域に対し、 マンガンを除去すれば安全な水であるということを納得していただけるまで、 時間はかかってもひざを交えて説明していく。 決して強引に押し進めるつもりはない」 と話している。
2012年の濁水流出事故により、 新水源の水が基準値を越えるマンガンを含んでいることが分かった。 その後、 水道部が新水源の水質検査結果を隠ぺいしていたことも明らかになった。 配水地域の住民から 「現行通りの水が飲みたい」 との要望が高まり、 辻市長は昨年3月定例会で 「いったん立ち止まり検討する」 と答弁。 対応が問われていた。