カワウによる川魚の被害を減らそうと、加古川漁業協同組合の役員が7月13日、兵庫県丹波市氷上町本郷の本郷橋左岸の竹やぶで、ねぐら兼営巣地にビニールテープをはる追い払い対策をした。丹波市猟友会に依頼し、16日から3回、同市山南町井原の井原橋上流にカワウを集め、銃器による駆除も予定している。
同漁協によると、丹波市内では、本郷橋下流が大きなコロニー(繁殖地)とねぐらになっており、一昨年からアユの放流シーズンの前に駆除、追い払いをしている。また、毎日ロケット花火で追い払いも実施している。
禁猟区の本郷では、ビニールテープが風に揺れる「ビリビリ」音でカワウが巣に戻るのを邪魔しようと、テープをはる作業を行った。
堤防から重りをつけ、投げ釣りの要領で竹やぶを越して河川敷を目がけ遠投。河川敷で待つ役員が、重りの先にテープを巻きつけ、堤防の「釣り人」がリールを巻いてテープを手繰り寄せた。
竹の丈が高く、また、竹やぶの幅が広いことから、2投に1投は河川敷に届くことなく竹やぶに落下。根がかりし、糸を切っては重りをつけ直し、遠投を繰り返した。
許可を得て井原で行う駆除は、上流は本郷橋、下流は西脇市からロケット花火でカワウを追い立て、銃器を使える井原橋上流に集め、猟友会が射とめる作戦。
渡辺昭良組合長(77)は、「何もしなければ、カワウに放流した魚を全部食べられてしまう。追い払いでは別の場所に移動するだけで、根本解決にならない。駆除が一番だが、発砲できる場所が限られている。撃ってもカワウは賢くなかなか取れないが、『こわい場所』と学習し、寄り付く数が減る。これを続けるしかない」と話していた。
他の駆除方法としては、卵を取り除く、偽卵を抱卵させる、営巣している木を切り倒すなどがあるが、いずれも多額の費用を要する。
カワウは、1日1羽で500グラムの魚を食べ、1カ月100羽いれば1・5トン食べる。また、サギ類より潜水能力が高く、深みの魚も食べてしまうという。