兵庫県篠山市小坂の明月(あかつき)神社で9月1日、明治35年(1902年)から続く伝統の万灯祭が行われた。500余本のロウソクが灯され、境内には幽玄な世界が広がっていた。
発起人の趣意書が残されており、今年、当番を務めた高見誠さん(66)は、「趣意書はほとんど読み解くことができないが、趣意書が書かれた明治35年は、日英同盟や八甲田山の雪中行軍遭難事件があった年。国体の強化と愛国の志で始まったのではないか」と話している。
この日、参列したのは地元住民約10人。6年前に名古屋からUターンした高見さんは「苔むした神社で500本ほどの灯りは都市部にはない光景で、厳粛ささえ感じる。参加者が減り、祭りを取りやめるか、意義あるものとして続けるか、の瀬戸際に立たされている。来年は、地域外の方にもぜひ見に来てほしい」と話している。