兵庫県丹波市春日町松森の藤井茂精さん(82)・和子さん(75)夫妻が、「カステラふじい」の屋号で、こだわりの素材を使ったカステラ作りを生きがいにしている。作る本数は少なく、丹波市内で買える店舗も限られており、“隠れた名品”となっている。2人は「売れるに越したことはないけど、夫婦で一緒に楽しむことが何より。ぼちぼちやっています」と話している。
自宅工房で焼き上げるカステラは3種。素朴な味の「プレーン」、宇治抹茶を練り込み甘さを抑えた「抹茶」、喜界島産サトウキビを使った「粗糖」。地元・大路地区のカンナンファームの卵を使用するなど、無添加の材料にこだわっている。
30年前、茂精さんが同市柏原町の企業に転勤し、春日町松森で生活を始めた夫妻。和子さんは、趣味でお菓子作りを楽しみ、以前はJA主催の朝市でもカステラを販売し、好評だったという。
茂精さんの退職後は、ともに製造を楽しむようになった。当初は家庭用のオーブンで焼いていたが、自宅を改装し、一度に20本以上が焼ける業務用オーブンを導入。茂精さんは「モノづくりが好きだから、定年後も楽しみたいと思って。商売よりも生きがいと感じているから、一度に焼くのは数本だね」と笑う。
現在、夫妻のカステラを取り扱っているのは、近畿豊岡自動車道の氷上パーキングエリア内「丹波いっぷく茶屋」、ひかみ四季菜館(氷上町犬岡)、JA丹波ひかみ「とれたて野菜直売所」(同町市辺)、薬草薬樹公園(山南町和田)。いずれも数個ずつ置き、売れれば焼いて補充している。