兵庫県篠山市西紀中地区の倉本集落で約5000株のシバザクラが見ごろを迎えている。世帯数は18世帯、西紀地区全体で見ても1、2を争う規模の小ささに加え、20歳代以下の子どももいない集落。特筆するような史跡などもない中、「人を呼ぶ資源は自分たちの手でつくる」と活動を続けており、道行く人が足を止めて花を愛でるなど、小さな花の集まりが交流人口の増加に一役買う。今後も植栽を続けていく予定で、小さな村の“挑戦”が実を結びつつある。
県道97号線を北東に進む。道の両側には水を張り始めた田が陽光を浴びてきらめている。その向こうに、集落を流れる川を縁どるように濃い桃色の回廊が浮かび上がっていた。
田畑ののり面や川の堤防に植えられている桃色の花はダニエルクッション、白はモンブランというシバザクラの品種。よく見ると薄い桃色の花もあり、こちらはタイムロンギガウルスというハーブの一種だ。
周辺4集落でつくる「川上地区農地・水・環境保全向上対策協議会」の活動の一環として倉本集落の住民が植栽を続けている。2010年から始め、足掛け8年で5000株、面積にしてトータル50アールとなっている。