「賛成派か、反対派か」から「賛成派か、住民投票か」に構図が変化した。篠山市の市名問題だ。「『丹波篠山』の知名度を生かすためには市名変更しかない」「市名は篠山市、『丹波篠山』は愛称でよい」など、「ブランド」をキーワードにした議論が並行線をたどったことも、ずいぶん前の出来事のように感じる。
子育て世代の団体が市議会に住民投票を求める請願書を提出したのが5月のこと。不採択となったが、この出来事に「失望した」ことがきっかけで、住民投票の実現をめざす団体「市名の名付け親になろう会」が立ち上がった。代表は30歳代の女性だ。若い女性たちが立ち上がったことでインパクトを与えた。
その裏には、農村部特有の〝ややこしさ〟から表に立てない男性陣の姿が透けて見えるのはさておき、「自分たちのまちのことは自分たちで決めよう」という市における民主主義のあり方や地域づくりのこれからを問うている。
「『丹波篠山』というブランド、52億円の経済効果」VS「市民の意見が反映されるまちづくり、常設型住民投票条例」―。戦いのゴングは鳴るのか。(芦田安生)