飲酒運転による事故が後を絶たない。飲酒運転に対する罰則が5年前に強化された以降も、丹波署管内では、飲酒による事故が相変わらず起きている。罰則の効果を軽んじるつもりはない。検挙数が大幅に減っているように罰則には一定の効果がある。しかし、限界もある。▼罰則が適用されるのは、飲酒運転が露見したときに限られるからだ。どんなに飲んでも、捕まらなければ罰則を受けない。となれば「検問にひっかからなければ大丈夫」と、ハンドルを握る不届き者が出てこよう。まして人は酒を飲むと、たがが緩むものだ。▼見つからなければいい、というのはスピード違反も同様だ。取り締まりを事前に察知すると速度を落とすが、そうでなければ速度超過が当たり前。摘発されても自分の不徳を省みる機会にせず、「運が悪かった」と居直る。こうした延長線上に飲酒運転がある。▼悪いことをした子に、「近所のおっちゃんに怒られるよ」とたしなめる親がいるそうだ。そんな注意を受けて悪事をよす子どもと、「罰則が厳しいから」と飲酒運転を自制する大人とどれほどの差があるだろうか。いずれも自分の良心で行動を律してはいない。▼「悪いことはしない。なぜなら悪いことだから」。ひとつ間違えば凶器となる車を動かすドライバーには、そんな良心の免許証も必要だ。(Y)