故郷は精神高揚の地
県生涯学習リーダー 小松 京子 (こまつ きょうこ) さん (宝塚市在住)
1935年 (昭和10年) 生まれ。 丹波市市島町出身。 旧姓能勢。 柏原高、 神戸大教育学部2年課程修了。 尼崎市教委指導主事、 同市立小教頭、 川西市教委指導主事 (嘱託) などを歴任。 県生涯学習リーダー。
先月春日町で開かれた 「読み聞かせ講座」 の講師をつとめた。 持ち前の元気さで受講生を引き寄せた。
「読み聞かせは、 生の声で語りかけることによって、 人間の五感を刺激する効果があります。 大人が子供に繰り返し、 読み聞かせる事が大事」 と言う。
「読み聞かせに、 なぜ絵本かというと赤ちゃん、 子供は文字が読めなくても絵を読むのです。 耳から聞いて、 言葉を飲み、食べて成長していきます。 子供は、 繰り返しが好き。 それは、 ゆったり物語にひたることができるからです。 その意味から、 昔話は、 読み聞かせにぴったりです」。
戦争中に祖父母の住む市島に疎開した。 祖父は病院を経営し、 吉見村の村長もした。 「名誉職もたくさんあり、 献身的な人でした。 俳句をたしなみ、 当時のインテリだったようです」 と思い出を語る。 「成長するに連れて、 社会の仕組みに目を向け、 一人、 ひとりの人間が自分を生かすということに、 関心が深くなりました」
その影響で、 高校時代は思索の日々をおくり、 ニーチェの本を読みふけったりした。 日本の古典文学にも親しみ、 図書館委員としても励んだ。 行動的になったのは、 大学時代に出会った演劇活動。
同じ教職にあった夫が病気で亡くなり、 悲しみにくれていた時にも、 県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター)で、 地域演劇活動指導者としての力を培い、 美術館の解説ボランティアで元気になりました」。
祖父の影響で、 俳句にも傾倒、 金子兜太氏に師事し、 『海程』 同人。 俳句の言葉をイメージしたパントマイムを創案した。 「読み聞かせだっこおにぎりおふろかな」 というオリジナルの作品で読み聞かせの真髄を語る。
「故郷は、 質素であって精神を高揚させてくれた地。 今の私がこうして活動できるのもそのおかげかもしれません」
(臼井 学)