元神戸中央郵便局長 夘野 省三 (うの しょうぞう) さん

2004.05.30
たんばのひと

郵政業務ひとすじに
元神戸中央郵便局長 夘野 省三 (うの しょうぞう) さん (大和郡山市在住)
 
1933年 (昭和8年) 氷上町成松生まれ。 柏原高校、 大阪経済大卒。 近畿郵政局経理部監査課長などを経て、 91年に大津中央郵便局長、 92年に神戸中央郵便局長をつとめ、 93年退職。
 
 高校卒業後、 おもに郵便局の管理業務などに携わった。 業務精励により、 春の叙勲で瑞宝小綬章を受けた。 「多くの人の指導や支援によって、 今回の名誉をいただいたと思います。 長年支えてくれた同級生や妻に感謝しています」 と喜ぶ。
 福知山郵便局に就職したが、 「どうしても大学に行きたい」 という思いが強くなり、 大阪の近畿郵政局に勤めながら、 大学の夜間部に4年間通って卒業した。 その後、 1年間委託生として、 京都大学経済学部で勉強した。 京都中央郵便局会計課長、 京都東山郵便局長などを経て大津中央郵便局長に起用された。 「滋賀県内で一番大きな規模の郵便局で、 県内の普通局を統括する役目がありました」 と当時を振り返る。
 現役最後の勤めとなった神戸中央郵便局長時代は、 地域との連携に力を入れた。 「十倉嘉之君 (当時県出納長) が高校の同級生でもあったので、 側面的にバックアップしてもらった」 と話す。 現役を退いた後に近畿地区の簡易保養センターの責任者として、 阪神淡路大震災の被災者を有馬や淡路、 赤穂の保養センターに無料で受け入れた。 「住宅が壊れ、 風呂に入れない人も多くあり、 大変喜んでもらった。 現役時代のつながりで県との連携もうまくいきました。 長年の勤めでは、 果たしえなかった故郷兵庫県の人たちに恩返しができた」
 「困難局での業務正常化などつらい経験もしました。 しかし、 『ここでふんばらないと、 田舎から出てきた意味がない』 とがんばりました。 小学六年生で父親が亡くなったという逆境がバネになっているのかもしれません」 という。 「退職後は、 写真に没頭している。 吉野の四季の風景を題材にしており、 人間関係のくさりを解き、 自由を満喫しています。 妻も氷上町出身で柏原や成松はなつかしい。 小学校や高校の同級会に顔を出すのが楽しみ」 と頬をゆるませた。

(臼井 学)

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