月桂冠株式会社四国支店長 山口喜昭さん

2009.08.13
たんばのひと

篠山の私設営業マン
(やまぐちよしあき)高松市在住

 1950年 (昭和25年) 篠山市野々垣生まれ。 篠山産業高、 関西経理専門学校卒。 68年入社。 大阪、 福岡、 岡山勤務を経て94年、 四国支店開設に伴い高松へ。 2007年から現職。 昨年第1回 「丹波篠山黒まめ検定」 に合格。 博士認定を受ける。

 伏見の銘酒の営業マンとして、 お得意先の販売支援を行う部下を指揮し、 自らも四国4県を飛び回る。 父は伏見の酒造組合に勤め、 伯父も月桂冠に勤めていた。 名だたる丹波杜氏を輩出した篠山に生まれ、 酒造会社への就職は自然な流れだったのかもしれない。
  「まあ、 ふだんの仕事は特別に話すほどのことはありませんよ。 それより…」 と強調するのは、 丹波篠山の私設営業マンとしての、 もうひとつの顔。 かばんにはいつも自社商品資料とともに、 篠山の紹介パンフが詰まっている。 「取引先でも、 ふるさとを持つ人とはすぐに意気投合しますね。 『じゃあ今度篠山に行ってみるよ』 なんて言われたらもう話は尽きません」
 篠山市出身者らで組織される多紀郷友会の会報 「郷友」 には毎回寄稿。 「高知と愛媛の県境にある標高1065メートルの 『篠山』 に登った」 というユニークな記事や思い出をつむいだエッセイのほか、 06年からは 「写真で見る篠山の今昔」 という連載で、 故郷に点在する建造物、 史跡を新旧2枚の写真とともに解説する。
 その取材のために忙しい仕事の合間を縫って月に一度は帰郷。 実家の用事を済ますかたわら、 カメラを片手に市内を歩く。 「実家の古いアルバムの中に懐かしい写真を見つけると、 その場所の今が気になってくる。 逆に、 新しい写真から昔の様子を調べたくなったり」。 友人、 知人をはじめ色々なところに問い合わせて材料を集めるのも楽しみの一つ。 「 『おまえは暇やなあ』 と、 皆あきれ顔です。 実は再来年の掲載分まで原稿ができているんですよ」。
 決して 「遠くにありて想う」 だけのものではない故郷。 そんな山口さんの気持ちがひしひしと伝わってきた。      (田中直子)

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