30周年迎えた人形劇団代表 小林 和子 (こばやし かずこ) さん

2005.04.10
たんばのひと

 発足30周年を迎えた篠山市の人形劇団 「みつばちグループ」。 地元の民話をお年寄りから聞き取り、 人形劇に脚色して上演している。 1974年、 城南小学校と城南保育所の保護者が 「何かしようよ」 と集まったのが始まりで、 当初からのメンバー七人を含む九人で息の長い活動を続けている。


「今回の節目に、 初めての台本集を発行しました。 第1作目の 『鼻の助太郎』 から 『負けぎらいのお稲荷さん』 までの9作を収めています。 『みつばち』 のようにいろんな所に飛んでいってお話を集めてきましたが、 これからはこの台本集がタンポポの綿毛のように飛んでいって、 花を咲かせてくれればと思っています」
  「30年はすごく早かったという感じですが、 何度か 『危機』 もありました。 5年目に当初のリーダーが転勤で篠山を離れ、 一番年が若かった私がなぜか代表を引き受けることに。 仲間の一人が病気で急死した11年前には、 ショックから7カ月休みましたが、 メンバーの熱意で再開することができました」
  「脚本は、 セリフがテンポよくなじむまで、 人形を動かし始めてからもどんどん変わります。 人形づくりは、 時間のかかる作業。 顔は発泡スチロールを削って紙粘土と和紙を足して整えます。 着物は、 家の蔵に眠っている古い布団をほどいたりして作ってきました」
 「『民話は何かを教えるための話ではない』 と聞いたのを、 ずっと心に留めています。 何でも 『いいこと』 『悪いこと』 の2つに分ける風潮がありますが、 そうではなく、 純粋に素朴な昔の暮らしが伝えられればすばらしいと思っています」
 「次の夢は、 街の空き家に子どもたちが集える 『みつばち会館』 をつくることです。 人形劇を上演したり、 昔話を発信できる場になれば」


 活動を始めたころは小さかった息子や娘が、 今や当時のメンバーの年齢。 私生活も支えあってきたことだろう。 柔らかい語り口とほのぼのしたお話に、 ほっとした気持ちになった。 篠山市真南条上。 59歳。 台本集の問い合わせは小林さん(079-595-0730)。

(J)

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