毎年10月17日から23日までは 「薬と健康の週間」。 医薬品や薬剤師の役割について正しい認識を広め、 保健衛生の維持向上をめざして全国でさまざまな行事が実施される。 長年薬事業務に携わり、 業界の発展などに功績があったとして県薬事功労者表彰を受けた。今年度の受彰者は県下で6人。 廣内さんは1990年から県薬種商協会氷上支部支部長を務め、山南町で 「和田薬局」 を開いている。
「1952年 (昭和27) に和田村で初めての薬局を開きました。 終戦から10年間ほどは特に使命が重かったと思います。 その頃は、 お腹の中に寄生する回虫が流行し、 駆虫剤を買いに来る人が日に10人くらいありました。 薬剤師を雇っていたのですが、 1963年に医薬品の販売だけを行う薬種商に切り替えました」
「薬種商協会では、 年に2回の講習会や献血活動、 啓もう活動などを行っています。 氷上支部の会員は、 私が入った頃は24人いましたが、 今は10人に減りました。 また昔は男の仕事だったのですが、 今は8人が女性。 主人は外で勤めていて、 主婦が業務を引き継いでいる形態です」
「最近は規制緩和が進み、 コンビニやスーパーでもドリンク薬剤を販売できるようになりました。 立地制限も撤廃され、 並びや向かいにでも開店できます。 しかし反面、 規制によって保護されてきた小さな業者が成り立たなくなりました。 薬は人命に直接関わる分野。 乱売になってはいけません。 規制緩和は時代の流れですが、 他の業種と同じように競争しない方がいいと思っています」
「昔と比べて衛生面の環境は格段に良くなり、 病人も少なくなりました。 しかし一方で、 商店街の衰退によりすみずみまでのサービスができなくなってきていると感じます。 歩いて行ける店がなくなれば、 車を運転できない高齢者は困ります。 お年寄りが不便を感じないですむよう、 宅配などの細かいサービスを維持していきたい」
商店街の衰退は全国的な問題。 ■近所の薬屋さん■がなくなれば、 不便を感じるお年寄りも多いだろう。 時代の波にはあらがえないが、 取り残される人を救うような役割も期待したい。 山南町和田。 76歳。 (J)