異なる個性を演劇に
2005年に同級生と立ち上げた劇団で、脚本・演出を手掛け、自ら出演もこなしている。これまで20回以上の上演を果たし、笑いあり涙ありのほっこりする芝居を届けている。
氷上中学校3年時の文化祭の演劇で、「家にワープロがあるから」という理由で脚本を手掛けた。「笑うところがない物語で賞はもらえなかったけど、今思えば演劇に興味を持ったきっかけだった」と振り返る。
大学は“演劇色”に染まった。演劇サークルに所属し、休日は一日中、稽古をしたり、公演では主演を務めたこともあった。卒業論文も演劇に関すること。役者志望が集う大阪の劇場のワークショップに参加するなど、演劇の世界に進むことも考えたという。
地元で就職したものの、普通の人の個性が武器になる演劇をしたいと、劇団を立ち上げた。当初のメンバーは2人だけ。ホームページを作って仲間を募るなど、少しずつ輪を広げた。「当時は『演劇をしている』と言うと偏見の目で見られたこともありましたね」と笑う。
脚本を作る際、決めていることがある。人が死なないこと、自分なりのメッセージを盛り込むこと、ハッピーエンドで終わること―。「自分たちの芝居を観て、演劇を始めたいと思う子どもが増えたらうれしい」と話す。
劇団名の「パルチザン」には、「仲間」という意味が含まれているという。「水彩」と名付けたのは、異なる個性が水彩絵の具のように混ざり合ってほしいという思いを込めている。
役を演じるのは得意ではない、という。「いろんな年代の人が集い、一生懸命に稽古をして作品を作り上げていく過程が好き」。38歳。