明治30年の開設以来、1世紀以上に渡り氷上郡民、丹波市民の命を救い、健康を支えてきた柏原赤十字病院が、県立柏原病院との機能統合による新県立病院の整備により、今月末で閉院する。先日、胃痛で外来を受診し、古い建物をながめながら、歴史の「if」(もしも)を考えた。
丹波市発足直後、赤十字社を指定管理者とする市立病院構想があった。県立丹波医療センターも赤十字を指定管理者にする案が真剣に話し合われた。さかのぼって氷上郡時代。拡張、移転新築、老人保健施設の併設など、後発の県立が台頭する中で赤十字が模索した生き残り策に、氷上郡が十分な支援をしていたら。生き残ったのは赤十字だったかもしれない。
診療科が充実していて200床前後のベッドがあった昭和後期―平成14年ごろも、最終的に59床に縮小した晩年も、最善の医療が患者に提供された。ただ、経営面が弱かった。良い医療は、「医療の質プラス経営」。赤十字の閉院は、丹波医療センターにとって大きな教訓だ。
関係者のみなさん、長い間お疲れ様でした。(足立智和)