丹波市の成人式を取材した。式の会場に足を踏み入れるのは初めてのことだった。それは学生だった当時、式の翌日に進級のかかったテストが控えていたために、欠席していたからだ。 そのため私にとって「成人の日」といえば、ノートとプリントを前に悪戦苦闘している自分しか思い浮かばない。しまりのない思い出を門出の日に作ってしまったな、と少しばかり後悔していた。 会場では、華やかな振り袖に身を包んだ女の子が笑顔で記念撮影をしたり、ビシッとスーツを着た男同士が、昔のあだ名で呼び合って思い出話に花を咲かせる姿が見られた。新成人とは3つしか年齢が違わない。だが思わず「若いっていいなあ」と思ってしまった。 しかし当然、彼らはただ浮かれていただけではない。今回特に心に残ったのは、取材した新成人がよく「責任」という言葉を口にしていたことだった。 その言葉をきくたびに、「今この時から自分は一人前なんだ」という決意表明を聞いているような気分になった。 皆がまぶしく見え、やっぱり「若いっていいなあ」と思うのだった。(西澤健太郎)