イラストの西殿さん

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 脳性まひで生まれつき体が不自由なため、足の親指一本でパソコンを操作し、イラストを描く篠山市の西殿恵子さんを取材した。西殿さんはだ円や三角などの大小の図形を、余計な線を消しながら何枚も重ねて、複雑なイラストに仕上げていく。 「すごく細かいところまで描いてしまう」との言葉通り、細部まで描きこんである。小さい印刷だと見えないので、「無駄なこと」と言われるが、隅々まで作り込まれているため見ていてあきない。 50歳の西殿さんは、わずか2年前に生まれて初めて絵を描いた。テレビのパソコン講座を見ながら、ペイントソフトで蝶を描いたのが、生涯最初の作品だという。以来、自分用に描き続けてきたが、今年市内のグループと知り合い、自作イラストのカレンダーを販売することになった。 取材中、西殿さんは「障害を前面に出すのは好きじゃない」と言われた。作品の質で評価してほしいという思いで、続く「(自分の作品は)まだ商売にできるもんじゃないぞ、と思っている」という言葉とあわせて、向上への思いが伝わってきた。カレンダーが売れるとともに、いつか原画展を-。(古西広祐)

関連記事