商道徳

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 チャリティーコンサートを開き、収益を寄付する活動を続けておられる陶芸家の山城建司さんと話をしていた時のこと、山城さんから「商道徳」という言葉を聞いた。 コンサートのゲストの話になり、「その人だったら、ツテをたどれば、安くで呼べるかもしれません」と申し出た私に「毎年、間に入って段取りをしてくれている業者があり、安いからといって、そこを断ることはできない。それは、商道徳に反する」と言われた。 「商道徳」という言葉を耳にする前から、物を買ったり、食事に出かける時は、極力個人の店、知り合いの店で「消費」をするよう心がけている。どこの商店も経営が厳しいなか、大切な友人や知人ががんばって営業している。一人ぐらいでは何の足しにもならないかもしれないけれど、ほかに応援する手立てがない。 とにかく安ければいいという風潮の前で、「商道徳」は風前のともし火だ。商店街の衰退の最たる原因も、顧客側の商道徳の衰退が大きく影響しているように思う。 値段だけでない人間のつながり、関係性を大切にする「商道徳」。出費がかさむ夏だから、この言葉を改めてかみしめたい。(足立智和)

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