古民家再生の風景

2007.01.31
未―コラム記者ノート

 篠山市の後川(しつかわ)地区は同市のなかでも、とりわけ他の地域との接点が多い地区だ。市の南東に位置し、大阪府能勢町、兵庫県の猪名川町、三田市に接している。地区内にある温泉や公園施設などに主要道路がつながっていることもあり、大阪の近郊地からの来訪者も多い。 この地区で最近、茅葺きの古民家2軒が再生された。籠坊温泉内の民宿経営者が将来の居住用と民宿客のもてなし用にと囲炉裏を二つ備え、開放的な作りにした。柱や梁をそのまま残し、紅ガラを柱に塗り、深い光沢をおびている。縁側には4メートルほどの開口部が設けられ、「暗い」古民家のイメージは全くない。ご主人が好きだというヤマボウシを中心に、落ち着く庭が広がる。 もう一軒は、籠坊温泉からさらに奥へと進むと「器ギャラリー」のヒノキの看板が掲げられている。箕面市で作陶活動をしていた男性が古民家をギャラリーに、牛小屋を工房に改修した。古民家のふすまを取り除き、約300点もの陶器がずらりと並ぶ。こちらは、少し高台に建ち、工房からの集落の風景が素晴らしい。これまでの伝統と自然を生かした2軒に後川の良さを感じた。(坂井謙介)

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