こだわり

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 個人的に注目している事業がある。篠山市建築組合が取り組んでいる「ささやまの家」だ。「篠山らしい家」とは何かというシンプルであり、難解な問いへの挑戦が、まもなく形になろうとしている。 できる限り、地元産の材料を使うというのが一つのこだわりだった。デザイン、設計、材料の手配、技術、コストの問題と、とことんつきとめていった姿勢には頭が下がる。 今年の取材を振り返ると、スピードスケート・ショートトラックの田村直也選手は、スケートくつのエッジの調整に、膨大な時間を費やした。砲丸投げで全国制覇を成し遂げた篠山東中の山田傳二君は、「回転投法」という投げ方にこだわり、努力を積み重ねた。 50回記念となる今年のデカンショ祭は、地元へのPRを重視し、踊りの輪を広げた。丹波特産の黒豆を栽培する農家は、黒豆の自然乾燥の仕方一つをとってもこだわりがある。安全な食材にこだわる料理店、納得のいく酒を追い求める丹波杜氏、独自の世界を追求する芸術家たち。 仕事や取り組みへの思いを語ってくれた人たちの目の輝きは印象的で、かっこよかった。それは、裏返せば、それぞれの「らしさ」について絶えず自問自答している人たちだからこそかもしれない。来年に向け、自分の糧にしたい。(芦田安生)

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