篠山市で今秋、収穫された「丹波ささやま安心ブランド」のコシヒカリが、農協の倉庫に眠ったままになっている。当初は10月中旬にも農協関連の販売店に並ぶ予定だったが、販売単価や、PR戦略が定まっていない。「新米」の旬を逃した感は否めない。ブランド化は、消費者に向けたPRでありながら、価格や味にどのような反応を示すかを見られていないことが一番の問題だ。 同市では来年度から黒豆のブランド化も進めようとしている。黒豆は同市を代表する特産であり、消費者の舌も肥えている。市内だけでも「川北」などの地域ブランドとどう区別するのか、など課題が山積している。 農家は、意欲を燃やして取り組もうとしている。関心を示す農家も増えているという。農家を支援する関係機関は、その意欲を落胆に変えてはいけない。 県農業改良普及センターは、「これまでは産地間の差別化をはかるのがブランド化の目的だったが、これだけ動きが広まると、今では『安全な作物』を裏付けるための証明書のようになってきている」と分析する。 生産する農家、流通させる農協、そして消費者が納得してこそ、農産物を超えて、地域自体がブランド化するという本来の目的に到達する。ブランド花盛りだが、言うが易し。関係機関がいかに軌道にのせるか、注目したい。(芦田安生)