アイドルVSプロレス

2007.02.01
未―コラム記者ノート

 休日を利用して阪神間で、二つのイベントをはしごした。一つは神戸の埋め立て地に15000人を集めて行われた人気アイドルのコンサート。続いて、大阪府南部の体育館で開催された、動員人数1000人強のプロレス団体の興行である。 大いに期待を膨らませて足を運んだ両会場だったが、終わったあとの感想は対照的なもの。充足感いっぱいの幸せな顔で会場を去ることができたのは、演出にかけられたと思われるお金も、参加した客数もはるかに少ないプロレス興行の方だった。 巨大スクリーンが置かれ、きらびやかな電飾で飾られたコンサートは、確かに楽しかったのだが、ただそれだけ。「きれいに包装されたパッケージ商品」という印象が強く、最後まで「ノる」ことができなかった。一方、プロレス会場の演出は会場照明と2つのスポットライトに入場曲のみで、両者の資本力の差は格段だ。 しかし、イベントへの参加意識をより強く感じられたのは、明らかに後者。会場の狭さを逆手に取り、レスラーが客席に乱入するなど、観客を楽しませる工夫が随所に見られた。演出装置などのハードにお金をかけられない分、ソフト面に知恵をしぼってカバーしたわけである。 お金のない1プロレス団体に見えた、「持たざる者」の工夫。学べることが、いくらかあった。(古西広祐)

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