氷上郡の合併の方向性を「是」とした先日の合併協議会で、ある住民代表委員が「合併に向かうならば、甘えの構造を断ち切る英断を」という意見を述べた。住民は地方行政に、地方は国や県に依存してきた、これまでの姿勢を見直さなければ、例え合併してもすぐに立ちゆかなくなるという指摘である。 国などが地方への補助金を削減する方針を打ち出している現在、郡内だけでなく、地方自治体は当人の意思にかかわらず「甘え」ることが難しくなっている。ならば、この指摘を真しに受け止めなければならないのはわれわれ住民の側、ということになるだろう。言葉は違うが、「応分の負担と行動を伴った住民参加」「住民一人一人の意識改革」など、他の委員からも同様の意見が聞かれた。 確かに財政一つとっても、行政が人件費の削減などを進めたところで、住民がそれを相殺するような事業を求めては健全化は望めない。関係者から、合併特例債への過剰な期待を抑制する発言が目立つのはこのためだし、合併せずに単町のままでいくにしてもこの構図は変わらない。いずれにせよ、これからのまちづくりにおいて、住民が様々な決断に直面する状況が増えることになるだろう。 地域の将来には今、深い霧が垂れこめている。丹波霧とは異なるこの陰うつな霧を、自分たちの手で晴らしたい。(古西広祐)