兵庫県丹波市の農業を担う若手らを支援しようと、同市春日町の農事組合法人「丹波みすまる」(荻野真代表)が、地元農家が育てた米などの作物を買い取り、主に都市部の消費者に販売するためのインターネットサイトを立ち上げる。販路が少なかったり、利益を上げられずに離農するケースもある中、農家に利益が出る価格で作物を買い取ることで離農を防ぐことがねらい。
10月ごろの運営開始を目指し、まずはつながりがある農家に呼び掛け、軌道に乗れば他の農家らにも声をかける。
米のほか、味噌といった加工品など、日々口にするもので保存がきく商品から始める。農家と相談し、希望を聞いた上で価格を決めて仕入れ、在庫を持つ。サイトに作物紹介や農家のこだわりを掲載し販売する。
荻野さん(39)=同市=は2011年にUターンし、翌年に就農。豆類を中心に栽培し、直売所への出荷やふるさと納税の返礼品、ネットを通じた販売など、あらゆる形で販路開拓につなげたものの、「売る難しさ」という壁に直面したという。「直売所に出荷すると量はさばけない。委託販売のため手数料はかかるし、売れ残ると価格を下げられる。大手スーパーなどへの出荷は数が多い分、価格は安い。いずれも農家が希望する売り上げにつながらないケースが多い」と話す。
荻野さんによると、作物はおおよその売値が決まっており、そこから物流費や保管料などを差し引かれた価格で買い取られることが多いという。「製造業だと、材料費や加工費などを加算して販売価格が決まる。一方、農業の場合は引き算のイメージ」と言い、梱包資材費や豊作による販売価格の下落など、農家にあらゆる“しわ寄せ”があるという。
サイト販売では、梱包や発送などの作業を荻野さんが担い、必要経費を加えた「適正価格」で販売するため、スーパーで購入するより割高になる場合がある。「農家も経営が成り立たなければならない。収益を上げないと持続できないことを理解してほしい。消費者には、丹波の安心・安全な作物を適正な価格で届けたい」と語る。
現在、ネット経由で資金を募るクラウドファンディングを活用し、サイト立ち上げ資金を募集している。目標金額は72万円。詳細は会社「READYFOR」のサイト(https://readyfor.jp/projects/34923)へ。