10月に篠山市の城下町一帯で営まれた春日神社の祭礼に、太鼓みこしの担ぎ手として参加させてもらった。もう7年目だ。近頃、夏が終わりを告げそうになると、「あぁ、祭りだ」と思う。運動不足の私には苛烈を極めるので、「あぁ」には恐怖も含まれている。
と言いつつ、いざ当日。「今年も頼むで」と言ってくださる地域の方や担ぎ手の仲間たちとまちを巡行し、肩が腫れるまでみこしを担ぎあげた。
11月に入り、篠山市立歴史美術館で、同祭礼をテーマにした特別展が始まった。豪華絢爛な見送りや鉾頭から、祭りの神々しくも楽しい空気、歴史、そして、受け継ぐ住民の誇りがあふれ出ている。
年番町に引き継がれてきた協議録には、「鉾頭が電線を切る場合は、事前に協議せよ」とある。かつてはそこまでして祭りを営んでいたのだ。
鉾頭は今、取り付けられていない。しかし、柔道家、嘉納治五郎は言った。「伝統とは形を継承することを言わず、その魂を、その精神を継承することを言う」
確かに伝統は受け継がれていると肩をなでた。
(森田靖久)