兵庫県丹波市議会がこのほど、同市の林時彦市長の選挙公約「新型コロナウイルス対策として全市民に5万円給付」を修正した、「2万円分の商品券交付」事業を含む一般会計補正予算案を否決した。市民の声を聞くと、残念がる声がある一方で、「議会が力を示した」と評価する声もあった。本会議では賛成9、反対9と可否同数となり、最後は議長採決によって否決が決まった。
40代共働きで小学生2人の子がいる会社員女性は、「5万円は無理でも2万円分の商品券はもらえると思っていたのでショック。日々の買い物に使おうと思っていた。否決して、浮いた予算の使い道はどうなるの。市民のために使ってほしかった」と残念がる。
市内で小売業を営む50代の男性は「飲食店の時短営業の影響で売り上げ激減の打撃を受けている私からすると、何をやってるんだという気持ち。商品券は、もらったらすぐに使う人が多いので、一定の経済効果があり、助かる事業所は多い。将来の使途が決まっているならお金を置いておく。『将来何に使うか分からない』なら、今このタイミングで使わないで、いつ使うんだ」と、否決にあきれ返っている。
30代の会社員男性は、議長判断での否決に絶句。「市長が公約で言ったこと。5万円でも商品券でも欲しかった。賛成してほしかった」と話した。60代農業男性は「市長選挙の遺恨を引きずっているように見える。議員は市民の方を向くんじゃないのか」と憤った。
一方、否決に安堵する人も。共に70代の農業の男性と自営業の男性は、「選挙で5万円と金をちらつかせるやり方が許せなかった。否決は妥当。議会の力を示した」と評価する。農業の男性は「5万円給付は無理と思っていた。市長になる人がそれをできると思っていたのが駄目。商品券を配るより、コロナ対策は他にやることがある」と指摘する。自営業の男性も「公約の修正の商品券だから否決されて当然だ。コロナ対策なら、医療関係者や、困っている商売人に手当してやってほしい。丹波市の市民が金を欲しいと言うのが情けない」とはき出した。
60代の会社員男性は、「当然の結果だ。実現性の低い、選挙目的の公約だった。使われなかった財源は、本来計画されていた事業に粛々と使ってほしい」と言い、50代の自営業男性は、「反対がもっと多いと思っていたが、拮抗した票数に驚いている。お金や商品券を配るなら一律でなく、対象者を絞って配るべき」と話した。
30代の会社員男性は、「この問題をテレビが騒がしく報道していたが、冷静に受け止めていた。林市長に対する不信感はない」ときっぱり。「状況に合わせて(公約を)変えるのは仕方ない。コロナは終わっていないし、次の施策に注目したい」と語った。