新ブランド「丹波赤どり」 ほどよい柔らかさと歯ごたえ 飼育の男性「地域貢献につなげたい」

2021.01.27
地域

新ブランド「丹波赤どり」のひよこと細見さん=2021年1月15日午前11時48分、兵庫県丹波篠山市味間南で

兵庫県丹波篠山市味間南の養鶏農家「細見農園」が、新しい食用銘柄鶏「丹波赤どり」の飼育に臨んでいる。ほどよい柔らかさと歯ごたえ、濃い味わいの肉質が特長で、昨年12月には、その日のうちに処理された新鮮な肉を販売する直営店もオープン。同農園の細見良典さん(39)は、「『丹波』の名を冠する以上、責任を感じており、新しい丹波地域のブランドに育て上げていきたい。大げさかもしれないけれど、地域貢献につながれば」と笑顔で話している。

直営店の「とり屋」

丹波赤どりは、両親共にJAS規格で「地鶏」の種鶏に認められている赤どりのロードアイランドレッド。京都府亀岡市の養鶏事業者「ヤマモト」が開発した。同社が孵化させたひよこを細見さんが飼育し、丹波市の「協和食品」で食肉に処理している。

市場流通量の約半数を占める一般ブロイラーが約45日で出荷されるのに対し、丹波赤どりは60―70日かけて自然にゆっくりと育てる。最も流通量が少ない地鶏(75日以上)よりも飼育期間を短くしているのは、高品質な肉を手ごろな価格で提供するためという。

餌は完全無薬にし、ストレスのない開放鶏舎で飼育するなど、欧州発の考え方「アニマルウェルフェア」(動物福祉)に努めている。

昨年4月から飼育を始めた細見さんは、「寒がりで暑がりな”わがままちゃん”。手間がかかるけれど、とても良い肉質になってくれる」と話す。

新鮮な鶏肉は真空パックで販売している

細見さんは約100年続く養鶏農家の4代目。自動車の整備士として一時、市外に出ていたが、帰郷した際に両親が作る米や野菜、そして鶏肉のおいしさに感動。代々続く農園を途切れさせるのは「もったいない」と跡を継いだ。

しばらく農業も続けていたものの、養鶏が自分にしかない強みと感じ、養鶏一本に。代々一般ブロイラーを飼育していたが、丹波赤どりの存在を知り、新ブランドを育てる一翼を担うことにした。

高級スーパーなどへの流通が始まっているが、細見さんは「地元の人にこそ味わってほしい」と直営店の「とり屋」(同市味間奥)をオープンした。

直営店では丹波赤どりの手さばき1羽分(もも、むね、ささみ、手羽、希少部位)を税込3800円で、半身を1900円(希少部位追加は200円プラス)で販売している。また毎週土曜日は焼き鳥などのテークアウト商品も用意する。新鮮な状態で食べてもらうため、基本的に予約制をとっている。

「養鶏は大変だけれど、お客様から『おいしかった』『いい鶏』と言ってもらえるからやっていける」と話す細見さん。「新しいブランドができていることを発信していきたい。市内の飲食店でも使ってもらい、丹波赤どりが食べられる飲食店マップなどを作ることができれば、地域の盛り上げにつながる」と意気込んでいる。

関連記事